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2話 家族 その1
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「フィリップ・ハウゼン侯爵と婚約破棄だと……!?」
「は、はい……お父様……」
ナーヴァ家の屋敷に戻った私は、当主であり父のエルゼクス・ナーヴァ伯爵に、婚約破棄の事実を伝えていた。お父様は信じられないと言った表情をしていたけれど……。
「そうか……まあ、正式な婚約破棄の通達はおそらく、後日になるのだろうな……」
「はい……おそらくはそうだと思います」
私はお父様に事実を伝えたけれど、正直な話、最初に叱責が来ると思っていた。でも、そんな様子は一切ない。気難しい表情をお父様はしているけれど……。
(ああ……なんてことだ、レミリム! 今は非常に悲しい想いをしているだろうに……! そっと、抱きしめてあげたいのに……! でも、当主の威厳とか色々考えると……ああ、畜生!)
「……」
お父様の気持ちがとてもよく分かるのは、ある意味では面白かったしありがたかった……。正直、なんと反応していいのか難しかったけれど。
「お父様……その、ありがとうございます。お父様の考えていることは、大体分かりましたので……その」
「な、なに……!? し、しまった……つい……!」
「いえ、とてもありがたいことでございます」
「そ、そうか……? なら、良いのだが……」
お父様はナーヴァ家の当主としての立場があるだろうし、素直に私を抱きしめるのは難しいと思う。そんなことは百も承知だ……それだけに、お父様の気持ちが分かったのはとても嬉しかった。
本音を言えば、抱きしめて欲しいという思いはあったけれど、今更頼むのも照れ臭かったので、やめておく。
お父様との会話はその辺りで終わった。
---------------------------------
「と、いうわけでございます……姉さま、お兄様……」
「なるほど、そんなことがあったのね」
「ほう、なかなか面白い事態になっているようだな」
お父様の部屋を離れ、私は同室に居たシャロン姉さまとフォイド兄さまに、婚約破棄の報告を行った。
「フィリップ・ハウゼン侯爵……なかなか、やってくれるわね。そう思わない? フォイド」
「左様でございますね、シャロン姉さま。非常に興味深いことをやってくれたものだと、思っております……」
二人とも表情は笑っているけれど、明らかに口調は笑ってはいなかった……特にシャロン姉さまは、私と同じく対象の心の声を読める。私の顔色が変わっていることにも、勿論、気付いているはず……。
(ハウゼン侯爵……相応の罰が必要みたいね。ああ、レミリムには聞こえているでしょう? つまりはそういうことよ)
(我が妹に悲しみを与えた罪……決して許されんぞ、フィリップ・ハウゼン……!)
とても嬉しいことではあるけれど、少しだけ引いてしまっていた……。特にシャロン姉さまとは心の中で会話が出来るから……姉さまもそれを分かった上で、私に話しかけているし。
心温まる家族であることには間違いないんだけれど……フィリップ様がむしろ、どういう目に遭うか心配になってくるほどだった……。
「は、はい……お父様……」
ナーヴァ家の屋敷に戻った私は、当主であり父のエルゼクス・ナーヴァ伯爵に、婚約破棄の事実を伝えていた。お父様は信じられないと言った表情をしていたけれど……。
「そうか……まあ、正式な婚約破棄の通達はおそらく、後日になるのだろうな……」
「はい……おそらくはそうだと思います」
私はお父様に事実を伝えたけれど、正直な話、最初に叱責が来ると思っていた。でも、そんな様子は一切ない。気難しい表情をお父様はしているけれど……。
(ああ……なんてことだ、レミリム! 今は非常に悲しい想いをしているだろうに……! そっと、抱きしめてあげたいのに……! でも、当主の威厳とか色々考えると……ああ、畜生!)
「……」
お父様の気持ちがとてもよく分かるのは、ある意味では面白かったしありがたかった……。正直、なんと反応していいのか難しかったけれど。
「お父様……その、ありがとうございます。お父様の考えていることは、大体分かりましたので……その」
「な、なに……!? し、しまった……つい……!」
「いえ、とてもありがたいことでございます」
「そ、そうか……? なら、良いのだが……」
お父様はナーヴァ家の当主としての立場があるだろうし、素直に私を抱きしめるのは難しいと思う。そんなことは百も承知だ……それだけに、お父様の気持ちが分かったのはとても嬉しかった。
本音を言えば、抱きしめて欲しいという思いはあったけれど、今更頼むのも照れ臭かったので、やめておく。
お父様との会話はその辺りで終わった。
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「と、いうわけでございます……姉さま、お兄様……」
「なるほど、そんなことがあったのね」
「ほう、なかなか面白い事態になっているようだな」
お父様の部屋を離れ、私は同室に居たシャロン姉さまとフォイド兄さまに、婚約破棄の報告を行った。
「フィリップ・ハウゼン侯爵……なかなか、やってくれるわね。そう思わない? フォイド」
「左様でございますね、シャロン姉さま。非常に興味深いことをやってくれたものだと、思っております……」
二人とも表情は笑っているけれど、明らかに口調は笑ってはいなかった……特にシャロン姉さまは、私と同じく対象の心の声を読める。私の顔色が変わっていることにも、勿論、気付いているはず……。
(ハウゼン侯爵……相応の罰が必要みたいね。ああ、レミリムには聞こえているでしょう? つまりはそういうことよ)
(我が妹に悲しみを与えた罪……決して許されんぞ、フィリップ・ハウゼン……!)
とても嬉しいことではあるけれど、少しだけ引いてしまっていた……。特にシャロン姉さまとは心の中で会話が出来るから……姉さまもそれを分かった上で、私に話しかけているし。
心温まる家族であることには間違いないんだけれど……フィリップ様がむしろ、どういう目に遭うか心配になってくるほどだった……。
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