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60話 ネプトと共に
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私は重い決断を下したのだと思う。それは周囲の人々を傷付けたのは間違いないだろう。
「ネプト様……これで良かったんですよね?」
「そうだな、私達の幸せの為にはこれで良かったと言えるだろう」
「はい……」
ウォーレスとニーナの二人と久しぶりに会ってから、それなりの月日が流れた。スザンヌ様とウィンスタートに関しては住んでいる場所は明らかになっているが、ネプト様の計らいで何もしないようにとの通達が出された。現在は二人とも間借りしている家で幸せに暮らしているらしい。
「スザンヌにも大変な迷惑を掛けてしまった……どうか幸せになって欲しいと願っているよ」
「私もです、ネプト様」
私達は辺境地に飛ばされ、開拓地経営と辺境地の経営を行うことになった。仕事のフォローをしてくれる人達も連れて、専用の館で住むことになったのだ。少なくとも数年間は、中央に戻ることはできなさそうね。ネプト様が国王陛下を退位しした後の始末が大変らしいから。
「弟にも迷惑を掛けることになってしまったな……」
「レメゲット様ですね」
「ああ……アーチェの弟のフォルセは大丈夫なのか?」
「最近は会っていませんので元気かどうかは分かりませんが、婚約の方は上手く行っていると思います」
「そうか……なら、安心だな。世代交代は上手くいきそうだ」
「はい」
フォルセなら私が心配しなくても、立派に仕事をこなしていけるだろう。あの子にも若干ニーナ、ウォーレス、私の三角関係的なことがあったようだけれど、その辺りも現在は解決しているみたいだしね。
「アーチェ……私は今、君しか見えていないと言っても過言ではない」
「ネプト様……私もです」
「ここでの仕事は決して楽なものではないだろう。アルダーも周囲からの批判を警戒して、なるべく人里離れたところにと飛ばしてくれたが……仕事に慣れるまでは、時間も掛かるだろうしな」
「そうですね、頑張って行きましょう」
「ああ」
私達の新しい生活はここから始まるのだ。レメゲット様の即位による問題が解決に向かった時点で連絡が来るようになっている。その頃には仕事にも慣れているだろうから、一度戻って全ての人達に挨拶して回った方が良いわね。
その挨拶回りにはニーナやウォーレス、スザンヌ様も含まれている。スザンヌ様に挨拶をするかどうかは、その時の状況次第ではあるけれど。
「アーチェ、必ず幸せになろう。必ずな」
「はい、ネプト様。幸せになりましょう」
お互いまだぎこちないけれど、それもすぐに解消されて行くだろう。まずはそうね……「ネプト」と呼び捨てに出来るように頑張ろうかな? 私達の幸せになる為の物語は、まだまだ始まったばかりだ。
おしまい
「ネプト様……これで良かったんですよね?」
「そうだな、私達の幸せの為にはこれで良かったと言えるだろう」
「はい……」
ウォーレスとニーナの二人と久しぶりに会ってから、それなりの月日が流れた。スザンヌ様とウィンスタートに関しては住んでいる場所は明らかになっているが、ネプト様の計らいで何もしないようにとの通達が出された。現在は二人とも間借りしている家で幸せに暮らしているらしい。
「スザンヌにも大変な迷惑を掛けてしまった……どうか幸せになって欲しいと願っているよ」
「私もです、ネプト様」
私達は辺境地に飛ばされ、開拓地経営と辺境地の経営を行うことになった。仕事のフォローをしてくれる人達も連れて、専用の館で住むことになったのだ。少なくとも数年間は、中央に戻ることはできなさそうね。ネプト様が国王陛下を退位しした後の始末が大変らしいから。
「弟にも迷惑を掛けることになってしまったな……」
「レメゲット様ですね」
「ああ……アーチェの弟のフォルセは大丈夫なのか?」
「最近は会っていませんので元気かどうかは分かりませんが、婚約の方は上手く行っていると思います」
「そうか……なら、安心だな。世代交代は上手くいきそうだ」
「はい」
フォルセなら私が心配しなくても、立派に仕事をこなしていけるだろう。あの子にも若干ニーナ、ウォーレス、私の三角関係的なことがあったようだけれど、その辺りも現在は解決しているみたいだしね。
「アーチェ……私は今、君しか見えていないと言っても過言ではない」
「ネプト様……私もです」
「ここでの仕事は決して楽なものではないだろう。アルダーも周囲からの批判を警戒して、なるべく人里離れたところにと飛ばしてくれたが……仕事に慣れるまでは、時間も掛かるだろうしな」
「そうですね、頑張って行きましょう」
「ああ」
私達の新しい生活はここから始まるのだ。レメゲット様の即位による問題が解決に向かった時点で連絡が来るようになっている。その頃には仕事にも慣れているだろうから、一度戻って全ての人達に挨拶して回った方が良いわね。
その挨拶回りにはニーナやウォーレス、スザンヌ様も含まれている。スザンヌ様に挨拶をするかどうかは、その時の状況次第ではあるけれど。
「アーチェ、必ず幸せになろう。必ずな」
「はい、ネプト様。幸せになりましょう」
お互いまだぎこちないけれど、それもすぐに解消されて行くだろう。まずはそうね……「ネプト」と呼び捨てに出来るように頑張ろうかな? 私達の幸せになる為の物語は、まだまだ始まったばかりだ。
おしまい
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