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43話 新たな一歩

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 私とフォルセ、ネプト様の3人は、ジョンの墓参りに来ていた。教会の近くに埋葬されたということになっているけれど、張りぼてでしかない。

 ただ、思い出の中のジョンにはもう会うことは出来ないので、その弔いという意味を込めている。フォルセも付き合ってくれたのは嬉しかった。


「フォルセ、ありがとう。お墓参りに付き合ってくれて」

「何を言っているんですか、アーチェ姉さま。ここまで来ているんですから、喜んで付き合いますよ」

「本当にありがとうね」


 前から思っていたけれど、フォルセは16歳とは思えない性格をしている。ノーム伯爵家の次期当主ということもあり、精神年齢は私よりもずっと高いと言えるだろうか。姉弟で話すときくらい、もっと砕けた会話をしても良いはずなのに、フォルセはそれすら行わないのだ。

 フォルセの婚約者はわりとすぐに見つかりそうね。私は……どうなるんだろう。


「ネプト様、これからのことなんですが」

「ああ、私は一旦、ウォーレスとニーナの処罰に注視しようと思う」

「あ、左様でございますか……」

「アーチェ、君は直接あの二人には関わらない方が良いだろう。結果報告は後程するので、私に任せておいてくれ」

「か、畏まりました……」


 ネプト様は私を単純に心配してくれているのと同時に、距離を置こうと言っているようにも感じられた。ウォーレス、ニーナと距離を置くのは当然だけれど、ネプト様とも距離を置くことになるのよね。

 仕方ないことだけれど……やはり少し、寂しい気持ちになってしまう。


「アーチェ姉さま、今度の舞踏会には是非、私と一緒に参加しましょう」

「フォルセ……?」

「きっと、アーチェ姉さまに相応しい人が見つかると思いますよ」

「あ、それは……」


 フォルセは本気で言っているようだ。やはり、私とネプト様が一緒になることには反対なのね。ここまであからさまだと、逆に清々しく感じてしまう。まあ、フォルセはそう思われることを前提でやっているのだろうけれど。

「フォルセ……なかなか、挑戦的だな。それでこそ、ノーム家の次期当主だ。将来が楽しみだよ」

「ありがとうございます、ネプト国王陛下。アーチェ姉さまのことは私に任せてくださいませ。国王陛下はスザンヌ様との愛を育み、次期国王陛下をお作りいただくのが先決でございましょう」

「ははははっ、まるで退路を断たれた気分だよ」


 ネプト様はフォルセの言葉に腹を立てている様子はなかった。逆に楽しんでいるまであるようだ。私とネプト様の関係は一旦、白紙に戻った。今回のジョンの墓参りを契機としてより鮮明になった形だ。

 今日で過去の遺産に決着をつけたのだから……今後、私達は新たな一歩を踏み出すことになる。
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