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29話 幼馴染という関係ですらない
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「う、嘘よ……! アーチェが、私のアーチェが裏切るなんて! そんなこと、絶対にあるはずがないわ!」
ニーナの喚き具合はある意味で異様だった。私やお父様やフォルセ、ウォーレスまで見ている中でこんなに情けない姿をさらけ出すなんて。何よりも、ネプト国王陛下が見ている前で……。
「ニーナ……いい加減、罪を認めておとなしくして。あなたが素直に罪を認めるのであれば、もしかしたらネプト様も穏便に済ませてくれるかもしれないわよ?」
あり得ないとは思うけれど、とりあえずニーナを落ち着かせる為に適当に言ってみた。
「アーチェ……! 嘘よね? 私に重い罪を望んでいるなんて! 私が今まであなたにどれだけ優しくしてきたか、分かっているのでしょう!?」
なんだか話が重複しているような気がする……ニーナはどこまで話が進んでいるのか、理解できていないのかもしれない。とにかく、もう一度話す必要があるわね。彼女は今、混乱しているわ……。
「今まで仲良くしてくれたことには感謝しているわ。ただし、それは私のことを自分の都合の良いように利用する為なのでしょう?」
「そ、それは……!!」
「ジョンを陥れようとした段階で、ニーナは言い訳なんて出来ない立場なのよ? その後の私への仕打ちは、例え騙そうとしていた意思があったとしても罪に問われることはないと思うわ。私自身は失望したけれどね」
ニーナもウォーレスも、私の言葉に顔面蒼白になっていた。そんなに失望したというのがショックだったのかしら? 普通はそうなると思うけれど……。
「ま、待ってくれよ、アーチェ……私のことは許してくれるんだろう? だって、私はニーナの罪に全く関与はしていないんだから……!」
「ウォーレス、私達は婚約解消をしているでしょう? それに何か勘違いしていない?」
「か、勘違い……?」
ウォーレスは謝罪さえすれば、今まで通り普通の幼馴染の関係を継続できると考えているようだ。ニーナももしかしたら同じような考えを持っているのかもしれない。
「私達の関係は今はもう、完全に他人同士よ。二度と幼馴染なんて名乗らないで。虫唾が走ってしまうから……」
「アーチェ……! 酷いわ!」
「そんな! アーチェ……!」
非常に取り乱した様子を見せる二人だったけれど、私はハッキリと言ってやった。ネプト様の方向を見ると、小さくガッツポーズをしているのが見えた。「よく言った!」と思ってくれているのかもしれないわね。
お父様やフォルセも満足そうな笑顔を見せていたし……ニーナとウォーレスの味方をする人が誰一人居ないのは、なんだか面白かった。
ニーナの喚き具合はある意味で異様だった。私やお父様やフォルセ、ウォーレスまで見ている中でこんなに情けない姿をさらけ出すなんて。何よりも、ネプト国王陛下が見ている前で……。
「ニーナ……いい加減、罪を認めておとなしくして。あなたが素直に罪を認めるのであれば、もしかしたらネプト様も穏便に済ませてくれるかもしれないわよ?」
あり得ないとは思うけれど、とりあえずニーナを落ち着かせる為に適当に言ってみた。
「アーチェ……! 嘘よね? 私に重い罪を望んでいるなんて! 私が今まであなたにどれだけ優しくしてきたか、分かっているのでしょう!?」
なんだか話が重複しているような気がする……ニーナはどこまで話が進んでいるのか、理解できていないのかもしれない。とにかく、もう一度話す必要があるわね。彼女は今、混乱しているわ……。
「今まで仲良くしてくれたことには感謝しているわ。ただし、それは私のことを自分の都合の良いように利用する為なのでしょう?」
「そ、それは……!!」
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「ま、待ってくれよ、アーチェ……私のことは許してくれるんだろう? だって、私はニーナの罪に全く関与はしていないんだから……!」
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「か、勘違い……?」
ウォーレスは謝罪さえすれば、今まで通り普通の幼馴染の関係を継続できると考えているようだ。ニーナももしかしたら同じような考えを持っているのかもしれない。
「私達の関係は今はもう、完全に他人同士よ。二度と幼馴染なんて名乗らないで。虫唾が走ってしまうから……」
「アーチェ……! 酷いわ!」
「そんな! アーチェ……!」
非常に取り乱した様子を見せる二人だったけれど、私はハッキリと言ってやった。ネプト様の方向を見ると、小さくガッツポーズをしているのが見えた。「よく言った!」と思ってくれているのかもしれないわね。
お父様やフォルセも満足そうな笑顔を見せていたし……ニーナとウォーレスの味方をする人が誰一人居ないのは、なんだか面白かった。
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