23 / 60
23話 真相 その1
しおりを挟む
(ニーナ視点)
「ネプト国王陛下はアーチェのことを、知らず知らずの間に傷付けていたようですね。可哀想なアーチェ……」
「そうだな、そうかもしれん……」
「……!」
アーチェをこちら側に引き入れるには、ネプト国王陛下に罪悪感を持たせるのが一番のようね。私はあくまでも、アーチェの味方をしてあげれば良いのよ。
それにしても……あのジョンという人物がネプト国王陛下だったなんて、本当に驚きだわ。7年前のスラム街では、当時は王子殿下だった彼と、伯爵令嬢のアーチェが逢引きしていたようなものなんだから……。
「アーチェ、私はあなたのことが本当に心配だったのですよ? あの屋根の崩落事故を聞いて……あなたが巻き込まれたのではないかと。無事であるという情報が届くまで、いてもたってもいられませんでした」
「ニーナ……ええ、あの時は本当に心配を掛けたわね。そのことに関しては感謝しているわ」
「ええ……」
感謝? どうしてそんなに薄い反応なのかしら。もっと私に縋りつくように感謝するべきなのに……。aなたは私の元に来るべきなのよ……あの時、ジョンがそれを邪魔していたけれど。そのジョンはネプト国王陛下だった……私にとって、これほどの驚きはないわ。
「ねえ、ニーナ。聞きたいことがあるのだけれど」
「どうしましたか、アーチェ?」
「どうしてあなたは、あんなに驚いていたの? ネプト様の正体がジョンであった事実は、あなたにとって、そこまで重要ではないと思うのだけれど」
「そ、それは……! 幼馴染のあなたをネプト国王陛下は傷付けたのですよ? 一言くらい申し上げたくなるのは、普通でしょう?」
「本当にそれだけ?」
な、何を言っているのよアーチェは……。おかしい、彼女はまるで私を疑っているかのようだ。ネプト国王陛下を責めようと考えていたのに、私が責められているような気がしてしまう。
「ウォーレス、何か知っているんじゃないの? さっきから凄い汗を流しているけれど」
「えっ……? あ、いや……!」
アーチェに指摘され、私もウォーレスに視線を合わせた。さっきまで黙っていた彼だけれど、今は明らかに焦った表情になっている。
「ウォーレス……何か知っていることがあるなら話して」
「い、いや……私は何も知らないよ。本当だ……」
「ウォーレス殿、私の前で嘘を吐けばどうなるか……しっかりと考えてから話した方が良いぞ? なんとなくだが推測は出来るのだ。あの崩落事件は人為的な操作があったのではないかと、言われているからな」
ネプト国王陛下がそこまで話すと、ウォーレスはパニック状態になって叫び出した。この男……本当に使えないわ。こんなにメンタルが弱いとは……。
「こ、国王陛下……! わ、私は何も知りません! 本当です! ただ、知っているのは、ニーナがジョンのことを煙たがっていたというだけで……」
「ちょ、何を言っているのですか!? 煙たがっていたのは、あなたも同じでしょう!」
「それはそうだけど、君の態度は尋常ではなかっただろ……!」
まさか、こんな状況の時にそんな話を持ち出してくるなんて……! ウォーレスは本当に愚か者だ……!
どうする? アーチェもネプト国王陛下も私を見ている……どうやって切り抜ければ……。
「ネプト国王陛下はアーチェのことを、知らず知らずの間に傷付けていたようですね。可哀想なアーチェ……」
「そうだな、そうかもしれん……」
「……!」
アーチェをこちら側に引き入れるには、ネプト国王陛下に罪悪感を持たせるのが一番のようね。私はあくまでも、アーチェの味方をしてあげれば良いのよ。
それにしても……あのジョンという人物がネプト国王陛下だったなんて、本当に驚きだわ。7年前のスラム街では、当時は王子殿下だった彼と、伯爵令嬢のアーチェが逢引きしていたようなものなんだから……。
「アーチェ、私はあなたのことが本当に心配だったのですよ? あの屋根の崩落事故を聞いて……あなたが巻き込まれたのではないかと。無事であるという情報が届くまで、いてもたってもいられませんでした」
「ニーナ……ええ、あの時は本当に心配を掛けたわね。そのことに関しては感謝しているわ」
「ええ……」
感謝? どうしてそんなに薄い反応なのかしら。もっと私に縋りつくように感謝するべきなのに……。aなたは私の元に来るべきなのよ……あの時、ジョンがそれを邪魔していたけれど。そのジョンはネプト国王陛下だった……私にとって、これほどの驚きはないわ。
「ねえ、ニーナ。聞きたいことがあるのだけれど」
「どうしましたか、アーチェ?」
「どうしてあなたは、あんなに驚いていたの? ネプト様の正体がジョンであった事実は、あなたにとって、そこまで重要ではないと思うのだけれど」
「そ、それは……! 幼馴染のあなたをネプト国王陛下は傷付けたのですよ? 一言くらい申し上げたくなるのは、普通でしょう?」
「本当にそれだけ?」
な、何を言っているのよアーチェは……。おかしい、彼女はまるで私を疑っているかのようだ。ネプト国王陛下を責めようと考えていたのに、私が責められているような気がしてしまう。
「ウォーレス、何か知っているんじゃないの? さっきから凄い汗を流しているけれど」
「えっ……? あ、いや……!」
アーチェに指摘され、私もウォーレスに視線を合わせた。さっきまで黙っていた彼だけれど、今は明らかに焦った表情になっている。
「ウォーレス……何か知っていることがあるなら話して」
「い、いや……私は何も知らないよ。本当だ……」
「ウォーレス殿、私の前で嘘を吐けばどうなるか……しっかりと考えてから話した方が良いぞ? なんとなくだが推測は出来るのだ。あの崩落事件は人為的な操作があったのではないかと、言われているからな」
ネプト国王陛下がそこまで話すと、ウォーレスはパニック状態になって叫び出した。この男……本当に使えないわ。こんなにメンタルが弱いとは……。
「こ、国王陛下……! わ、私は何も知りません! 本当です! ただ、知っているのは、ニーナがジョンのことを煙たがっていたというだけで……」
「ちょ、何を言っているのですか!? 煙たがっていたのは、あなたも同じでしょう!」
「それはそうだけど、君の態度は尋常ではなかっただろ……!」
まさか、こんな状況の時にそんな話を持ち出してくるなんて……! ウォーレスは本当に愚か者だ……!
どうする? アーチェもネプト国王陛下も私を見ている……どうやって切り抜ければ……。
51
お気に入りに追加
3,596
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
初めまして婚約者様
まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」
緊迫する場での明るいのんびりとした声。
その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。
○○○○○○○○○○
※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。
目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
今まで尽してきた私に、妾になれと言うんですか…?
水垣するめ
恋愛
主人公伯爵家のメアリー・キングスレーは公爵家長男のロビン・ウィンターと婚約していた。
メアリーは幼い頃から公爵のロビンと釣り合うように厳しい教育を受けていた。
そして学園に通い始めてからもロビンのために、生徒会の仕事を請け負い、尽していた。
しかしある日突然、ロビンは平民の女性を連れてきて「彼女を正妻にする!」と宣言した。
そしえメアリーには「お前は妾にする」と言ってきて…。
メアリーはロビンに失望し、婚約破棄をする。
婚約破棄は面子に関わるとロビンは引き留めようとしたが、メアリーは婚約破棄を押し通す。
そしてその後、ロビンのメアリーに対する仕打ちを知った王子や、周囲の貴族はロビンを責め始める…。
※小説家になろうでも掲載しています。
はずれのわたしで、ごめんなさい。
ふまさ
恋愛
姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。
婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。
こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。
そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。
婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます
天宮有
恋愛
婚約者のザオードは「婚約を破棄したい」と言うと、私マリーがどんなことでもすると考えている。
家族も命令に従えとしか言わないから、私は愛することをやめて自由に生きることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる