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41話 ビクティム侯爵への罰

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 あの議会での発言から数日が経過した本日。私はフューリに会うために、彼の私室を訪れていた。彼は私をオルカスト王国の中心である宮殿に招待してくれ、私室へと招いてくれた。


「王太子殿下のお部屋……流石に緊張するわね」

「初めて来たわけでもないだろう? レオーネ」

「それはそうかもしれないけれど……」


 いくら幼馴染とはいっても、フューリは次期国王になられる存在でもある。そんな彼の部屋に入るということは、一定の緊張感が生まれてしまうのだった。私のお付きとして、執事のアラベスクが同行してくれているけど、彼はフューリの部屋には入らずに外で待機している。

「フューリ、早速で悪いのだけれど、用件を聞かせてくれないかしら?」

「ああ、分かっているよ。議会から連絡が来てね……ビクティム・クラウスの罰が決定したようだ」

「ビクティム侯爵の……?」

「ああ」


 あの審議から数日が経過しているので、審議結果が出たとしても不思議ではない。その通達が一早く、フューリの元に届いたということね。私ははやる気持ちを抑えられなかった。私が必死で話した事柄がどのように処理されたのか……非常に気になるところだった。

「それで、フューリ。ビクティム侯爵はどんな罰に処せられるのかしら?」

「ああ、そうだな。まずは侯爵としての爵位は封印されることになった」

「封印……?」


 あまり聞かない言い回しだけれど、具体的にはどういう意味合いがあるのかしら? 私はフューリに聞いてみる。

「爵位の封印っていうのは、あまり聞かない罰だと思うのだけれど……」

「そうだろうな、我が王国の独自の罰だからな」

「そうなんだ」

「ああ……具体的には、ビクティム・クラウスは辺境地開拓に回されることになった。そちらで成果を示し、一定の期間を掛ければ元の爵位に戻れるというものだ」

「それって……」


 通常の罪人の懲役刑と同じ? いえ、辺境開拓地での地位が問題となるわけだけど。


「その辺境地での、ビクティム侯爵の地位はどのくらいになるのかしら?」


「はっきりとしたことは言えないが、ビクティム・クラウスはその段階では一般人と変わらない地位に落ちている。辺境地開拓の一労働力としてカウントされるだろう」


 労働力の1つとして数えられるだけ……これはビクティム侯爵にとっても、非常に不名誉な事態だと思う。罪に対する罰が重いのか軽いのかの判断は微妙だけれど、ビクティム侯爵には相当な屈辱が圧し掛かってくるだろうとは理解できた。


「エドモンド様の意見も考慮された、ということかしら?」

「それは分からないが、多少は憂慮されたの思う。本来ならば、永久的に爵位のはく奪でもおかしくはないのだから。それから考えると、かなり軽減された罰という見方もできるだろう」


 確かに……あんな公共の場での失態と、父親であるアーロン様を殴り倒した事実があるのだから、オルカスト王家としてはビクティム侯爵の爵位を永久に取り上げたかったと思う。


 でも、そこまで出来なかった……つまりそれは、エドモンド・デューイ公爵などの力が影響したということ。私は少しだけ寒気がしてしまっていた。


「さてと……湿っぽい話はこのくらいにしておこうか。どうかな、今から少しだけ出かけないか?」

「えっ、フューリと……?」


 意外なフューリからの提案に私は驚く間もなかった。デートの誘い……そのように受け取れたから。
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