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24話 宴のあと その2
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「レオーネさんはお幾つなんですの?」
「はい、18歳になります」
「18歳……なるほど、私の2つ下ですのね」
他国とはいえ、王女様に「さん」付けで呼ばれるのは慣れていない。メリア王女は20歳……やっぱり同年代だった。
「パーティーの雰囲気は随分と変わってしまったけれど、各々の本音が聞けて楽しいですわね」
「そ、そうですね……?」
そう言いながら、メリア王女は近くの料理に手を付け始めた。私もそれに合わせるようにして、料理を食べることにする。
「クラウス家を捨てて、ルヴィンス家になんとか……」
「いえいえ、王太子殿下がよろしいのでは? それとも、デルトーイ王国の方々という手もありますぞ!」
私達が聞いていることは考慮されていないのか、本当に色んな貴族の声が聞こえて来た。本音という意味では間違いないんだろう。
「レオーネさんはご趣味はあるの?」
「趣味ですか?」
「ええ」
メリア王女様とこうして普通に会話をしていることが、なんだか不思議でならなかった。場合によっては、ビクティム侯爵と一緒に私を陥れた人物と捉えることが出来るのに。でも、こうして話していると、とてもそんな風には見えない。
「趣味は特にはないです。強いて言うなら読書、かな?」
「あらあら、奇遇ね。私も読書は大好きなの、今までどんな本を読んでいたのかしら?」
思ったよりもメリア王女は食い付きが良かった。
「ええと、歴史書や民族学などですね。この世界には亜人と呼ばれる人ではない存在が居るという点には、興味がありますし」
「なるほど、それは確かに興味深い部分ね。レオーネさんとは、話しが合いそう。クリス様に紹介され、フューリ王太子殿下へ協力をした甲斐がありましたわ」
「……クリス様? クリス様ってまさか……」
「ええ、その通りよ。フューリ王太子殿下の妹君。クリス・ミラー王女様」
ミラー? そうだった、既にクリス王女様は他国に嫁いでるんだった。いえ、他国って言っても確かデルトーイ王国だったはずだけれど。
「私の国のミラー公爵家に嫁いでいらっしゃるわ。その関係で、私とは親しくしていただいているの」
「そうだったのですね……でも、ビクティム侯爵の件はどういう経路を辿ったのですか?」
「その点については少しややこしいのだけれど……私が今まで、他のパーティーにほとんど出席していなかったことをご存じかしら?」
「ええ……それは知っています」
彼女がこの場所に居るのは非常に珍しいことだった。直後にそれ以上にすごい事件が起きたから忘れていたけれど……。
「私はデルトーイ王家の王女という立場で、少々、人間不信になっていたわ……私に近づいて来る人は私の権力にしか興味がないようだったし」
「そうだったんですね……」
第一王女様という立場はきっと、想像以上に大変なんだろう。伯爵令嬢である私の立場よりもずっと過酷なのかもしれない。私は彼女の話をしっかりと聞くことにした。宴のあとの雰囲気で聞くにはややシリアスだけれど、状況的には丁度良いタイミングなのかもしれない。
「はい、18歳になります」
「18歳……なるほど、私の2つ下ですのね」
他国とはいえ、王女様に「さん」付けで呼ばれるのは慣れていない。メリア王女は20歳……やっぱり同年代だった。
「パーティーの雰囲気は随分と変わってしまったけれど、各々の本音が聞けて楽しいですわね」
「そ、そうですね……?」
そう言いながら、メリア王女は近くの料理に手を付け始めた。私もそれに合わせるようにして、料理を食べることにする。
「クラウス家を捨てて、ルヴィンス家になんとか……」
「いえいえ、王太子殿下がよろしいのでは? それとも、デルトーイ王国の方々という手もありますぞ!」
私達が聞いていることは考慮されていないのか、本当に色んな貴族の声が聞こえて来た。本音という意味では間違いないんだろう。
「レオーネさんはご趣味はあるの?」
「趣味ですか?」
「ええ」
メリア王女様とこうして普通に会話をしていることが、なんだか不思議でならなかった。場合によっては、ビクティム侯爵と一緒に私を陥れた人物と捉えることが出来るのに。でも、こうして話していると、とてもそんな風には見えない。
「趣味は特にはないです。強いて言うなら読書、かな?」
「あらあら、奇遇ね。私も読書は大好きなの、今までどんな本を読んでいたのかしら?」
思ったよりもメリア王女は食い付きが良かった。
「ええと、歴史書や民族学などですね。この世界には亜人と呼ばれる人ではない存在が居るという点には、興味がありますし」
「なるほど、それは確かに興味深い部分ね。レオーネさんとは、話しが合いそう。クリス様に紹介され、フューリ王太子殿下へ協力をした甲斐がありましたわ」
「……クリス様? クリス様ってまさか……」
「ええ、その通りよ。フューリ王太子殿下の妹君。クリス・ミラー王女様」
ミラー? そうだった、既にクリス王女様は他国に嫁いでるんだった。いえ、他国って言っても確かデルトーイ王国だったはずだけれど。
「私の国のミラー公爵家に嫁いでいらっしゃるわ。その関係で、私とは親しくしていただいているの」
「そうだったのですね……でも、ビクティム侯爵の件はどういう経路を辿ったのですか?」
「その点については少しややこしいのだけれど……私が今まで、他のパーティーにほとんど出席していなかったことをご存じかしら?」
「ええ……それは知っています」
彼女がこの場所に居るのは非常に珍しいことだった。直後にそれ以上にすごい事件が起きたから忘れていたけれど……。
「私はデルトーイ王家の王女という立場で、少々、人間不信になっていたわ……私に近づいて来る人は私の権力にしか興味がないようだったし」
「そうだったんですね……」
第一王女様という立場はきっと、想像以上に大変なんだろう。伯爵令嬢である私の立場よりもずっと過酷なのかもしれない。私は彼女の話をしっかりと聞くことにした。宴のあとの雰囲気で聞くにはややシリアスだけれど、状況的には丁度良いタイミングなのかもしれない。
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