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17話 ルーザについて その2
しおりを挟むフォルテ兄さまにも声を掛けたけれど、「お前が言って来い。おそらくは良い経験になるだろう」と言われた。フォルテ兄さまはどういう事態になるのか分かっていたらしく、最初から参加する気はないようだ。
私とフィルア姉さま、ルーザ嬢は姉さまの私室に入っていた。専属の使用人が待機していたけれど、現在は人払いをさせている。
「フィルア王女殿下……人払いをさせるということは、それだけ聞かれてはマズイことを話すおつもりなのでしょうか?」
「別に使用人に聞かれてマズイ話ではないわ。彼らなら秘密は守れるだろうし。ただ、ルーザ嬢の名誉を守りたかったのよ」
「左様でございますか……お心遣いありがとうございます」
これから話されることは、それだけルーザ嬢の名誉に関することなのだろう。私もそれを感じることが出来た。
「早速だけれど……ルーザ嬢はフェリスが第二王女であることは分かっていたわよね?」
「それは……」
フィルア姉さまからの強力な一言だった。姉さまはその圧倒的な洞察力で、ルーザ嬢の心の中を見透かしているようだった。
「どうなの? 否定したければどうぞ」
「いえ、そのお言葉は正しいです。否定する意味がありません」
なるほど……ルーザ嬢は先ほどの催し物に参加した時点で私が第二王女だと分かっていたというわけか。良く考えると、事前に知っていたのではないかと思える言動はあった気はするけれど……。
「申し訳ありませんでした……私は自分の為に、王家の方々を利用した形になります……」
「えっ、どういうことですか……?」
意味が分からなかった。私やフィルア姉さまを利用した? どういう目的で……?
「おそらくはブンド殿と関連があるのでしょうね……」
「流石はフィルア王女殿下です。その通りでございます」
なんだか話が一人歩きしているような気がする……少なくとも私には意味が分からなかった。
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