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12話 真相 その3
しおりを挟む(ブンド・マルカール侯爵視点)
フィルア第一王女殿下の睨みが凄まじい気がする……いや待て、私はそこまで悪いことを言っただろうか? よく考えるのだ。言葉を間違えてはいけない……。
「ま、まず……話を整理してもよろしいでしょうか?」
「……どうぞ」
フェリスの視線が痛いぞ……ゴミを見るような目つきで私を見ている。
「私はフェリス様が王女殿下であることを知りませんでした」
「そうですね、確かに。それがどうかしたのですか?」
「で、ですので……先ほど、知らぬこととは言え失礼致しましたと謝罪しましたよね?」
そうだ、私は謝罪したのだ。フェリスが偉そうに私に説教をするムードになっているが、そんなことさせるものか。私は知らなかった……だから、通常の子爵令嬢や令息に対する対応をしたまでだ。私は何も悪くはない。
「私の対応に何か間違いがありますでしょうか?」
「ええ……ここまでくると、ある意味凄いですね……」
フェリスに言われると腹が立つな……本当にこの女が第二王女殿下なのか? くそ……取り入る作戦が台無しになってしまったではないか。
「ブンド様、流石に謝罪以外の言葉を出すのは止めた方が良いと思います……」
「何を言っているのだ、ルーザよ。私は間違ったことは言ってないぞ?」
味方であるはずのルーザまで呆れたように私を見ている……なんなのだ、一体? なぜ、侯爵である私がここまで追い詰められないといけないのだ。ルーザの表情がどんどん憂いを帯びているような気がするが……ここは負けるわけにはいかん。
「と、とにかく……フェリス様へのご無礼はお許しください。本当に申し訳なく思っておりますので!」
「……許せるわけないでしょ? 何を言っているの?」
「ふぃ、フィルア王女殿下……しかし!」
あの程度の無礼で引っ張られても困る。不敬罪とかになってしまうのか? あり得ないとは思うが……それにしても、フィルア第一王女殿下は怖いな。容姿は美しいが……。
「まあ、フェリスへの無礼の件は置いておいて……フォルテ殿への態度は許しがたいわね。そうでしょう、フェリス?」
「そうですね、姉さま。絶対に許せないことです……私の大切な兄さまですし、それを除いたとしても、自分より位が低い人物だからと偉そうにするのは、貴族として考えられませんし」
「そういうことね」
「えっ!? そっち……!?」
私はついついフォルテの方向に目をやってしまった。あの男は私に睨みを利かせている。馬鹿な……フォルテへの無礼で私を裁くと言うのか……!? そ、そんなことがあるわけ……。
「信じられないって顔しているけれど、普通にあるから。残念だったわね、ブンド」
フィルア王女殿下の表情は本気だった。どうやらそんなことあるようだ……。
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