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8話 秘密の第二王女殿下 その2
しおりを挟む「秘密の第二王女殿下……ふふふ、面白い響きよね」
「フィルア姉さま……楽しんでますよね?」
私は書類を通して第二王女に戻ることが出来た。お父様やお母様とは涙のお別れを通して……とは、意外とならなかったけれど。フィルア姉さまの言う通り、子爵家の家族は私が王家に戻ることに賛成なようだった。もちろん、悲しんではくれていたけれど、大切な王家の人間を守れなかった責任を感じているとか言っていたっけ。
守れなかった責任というのは、ブンド・マルカール侯爵との婚約破棄を意味している。
「こういうのは楽しんだ方が勝ちなのよ」
「そういうものですかね……」
「そういうものよ」
そんな状況ではあるけれど、フィルア姉さまは平常運転だった。私達は宮殿内の舞踏会会場に来ている。今回の主催の目的は第二王女である私のお披露目ということになっている。聞くところによると、一部の人以外には正体を明かしていないのだとか……これの意味するところは……。
「私の正体が明らかになっていないのは、フィルア姉さまの発案ですか?」
「まあね。これでも私、王家の中でも発言力があるから」
「まあ、それは分かっていますが……」
フィルア姉さまは王位継承権第三位ではあるけれど、発言力で言えば、第一王子殿下並とも言われている。それは10年前の権力争いが起因しているらしいけれど。ちょうど、私がシネスタ子爵家の養女になった時期と重なっているわね。
その時にはバスティン王国では珍しい、女王を生み出そうとする勢力が台頭していて……まあ、男女平等論に近いのかな。その関係で私は王家から離されたのだけれど。フィルア姉さまの権力が強くなったのはその辺りからと言われている。
「でも……私の正体を隠す意味ってありますかね? よく分からないんですが……」
「滅茶苦茶あるじゃない。ふふふ」
怪しく笑っている姉さまはとても美しかったけれど、とても怖かった。まあ、私の為にしてくれているのだろうけれどね。
「ほら、噂をすれば……現れたわよ」
「えっ? あれって……ブンド様とルーザ様?」
「そうみたいね」
ブンド様とルーザ様がまさか現れるなんて……確かに驚きだった。しかも、フォルテ兄さまが案内しているし。これはどういう状況なのかしら?
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