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4話 舞踏会にて その2
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「はっ、まさかユーライア侯爵の舞踏会に出席しているとは思わなかったよ」
「私もルード様がいらっしゃるとは思いませんでした」
ルード様が居ると分かっていれば出席なんてしなかったのに……もっと、ちゃんと調べておくべきだったわね。失敗したわ……色々と精神的にきつかったから、そこまで手が回っていなかった。
「そんな邪見にするなよ。元婚約者同士、仲良くしようじゃないか」
「止めてください、ルード様。変な噂が立っては困りますので、私は失礼させていただきます」
「何を言っている? 既に周りから見られているぞ」
「えっ……?」
私は彼に言われて周囲に気を配った。確かに目立っているようだ。私がというよりも、ルード様の婚約破棄という事実が先行しているのだろう。私が近くに居るから、その相手が私だと思われているのだ。まあ、正しいのだけれど非常に困る。これ以上、イグマリオ家に迷惑を掛けたくないもの。お父様達はそんなことで怒りはしないだろうけど、私のプライドが許さなかった。
「ルード様の近くに居ると、私が元婚約者であるとの噂が広まりそうですので、失礼させていただきますね」
「お前が元婚約者だという噂は既に立っているだろう? 今さらじゃないか」
「それでも……これ以上広まるのは嫌なので」
まあ、私も伯爵令嬢という立場だし、名前くらいはすぐに割れてしまうだろう。それでも、ルード様からは離れた方が賢明だと判断した。何よりも彼の傍に居たくないし……。
「はは、どこまでも我儘な娘だな、お前は」
「我儘? ルード様がそれを言いますか? 身勝手な行為で婚約破棄しておいて!」
これはルード様の挑発だろうか? 私を離さないようにする為の話術だったのかもしれない。頭に血が上った私はついつい言い返してしまった。
「ははは、公爵である私に対して何たる言い草だ」
「そんなことは関係ありません。公爵様だろうと、間違いを犯せば下の者からの叱責はあるのですから。それを全て身分の差で解決なんて……」
「出来るのだよ、それが公爵というものだからな。試してやろうか?」
「うっ……」
確かにルード様が本気を出せば、イグマリオ家はただでは済まないと思う。それは正しい。でも、こんな横暴がまかり通って良いはずがない。私は怖かったけれど、視線だけは逸らさないようにした。するとどうだろうか? 彼の後ろから歩いて来る人影が見えた。明らかにこちらに近づいて来ている。
「なかなか面白い話をしているな、二人とも」
「あっ……まさか、国王陛下?」
「ななっ……!」
私の言葉にルード様も振り返った。そこには確かにアーサー・ロードス国王陛下が立っていた。いくら侯爵家の舞踏会とはいえ……一番意外な人物のご登場だ。
「私もルード様がいらっしゃるとは思いませんでした」
ルード様が居ると分かっていれば出席なんてしなかったのに……もっと、ちゃんと調べておくべきだったわね。失敗したわ……色々と精神的にきつかったから、そこまで手が回っていなかった。
「そんな邪見にするなよ。元婚約者同士、仲良くしようじゃないか」
「止めてください、ルード様。変な噂が立っては困りますので、私は失礼させていただきます」
「何を言っている? 既に周りから見られているぞ」
「えっ……?」
私は彼に言われて周囲に気を配った。確かに目立っているようだ。私がというよりも、ルード様の婚約破棄という事実が先行しているのだろう。私が近くに居るから、その相手が私だと思われているのだ。まあ、正しいのだけれど非常に困る。これ以上、イグマリオ家に迷惑を掛けたくないもの。お父様達はそんなことで怒りはしないだろうけど、私のプライドが許さなかった。
「ルード様の近くに居ると、私が元婚約者であるとの噂が広まりそうですので、失礼させていただきますね」
「お前が元婚約者だという噂は既に立っているだろう? 今さらじゃないか」
「それでも……これ以上広まるのは嫌なので」
まあ、私も伯爵令嬢という立場だし、名前くらいはすぐに割れてしまうだろう。それでも、ルード様からは離れた方が賢明だと判断した。何よりも彼の傍に居たくないし……。
「はは、どこまでも我儘な娘だな、お前は」
「我儘? ルード様がそれを言いますか? 身勝手な行為で婚約破棄しておいて!」
これはルード様の挑発だろうか? 私を離さないようにする為の話術だったのかもしれない。頭に血が上った私はついつい言い返してしまった。
「ははは、公爵である私に対して何たる言い草だ」
「そんなことは関係ありません。公爵様だろうと、間違いを犯せば下の者からの叱責はあるのですから。それを全て身分の差で解決なんて……」
「出来るのだよ、それが公爵というものだからな。試してやろうか?」
「うっ……」
確かにルード様が本気を出せば、イグマリオ家はただでは済まないと思う。それは正しい。でも、こんな横暴がまかり通って良いはずがない。私は怖かったけれど、視線だけは逸らさないようにした。するとどうだろうか? 彼の後ろから歩いて来る人影が見えた。明らかにこちらに近づいて来ている。
「なかなか面白い話をしているな、二人とも」
「あっ……まさか、国王陛下?」
「ななっ……!」
私の言葉にルード様も振り返った。そこには確かにアーサー・ロードス国王陛下が立っていた。いくら侯爵家の舞踏会とはいえ……一番意外な人物のご登場だ。
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