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第1章

変態狐の悪巧み

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「お兄さまぁ!いい加減機嫌直してくださいよぉ!」

    夜の闇にうかびあがる隠世櫻川楊大通りにて、ヒメゴは退治も仕事もせず、ただひたすら腕を組んで遠い先を睨むハクガに痺れを切らして要求を零した。
   かれこれ2週間ほどはこんな状態が続いている。

「ほら、このお団子割引してましたよ!しかもお団子が今なら4つ付いて同じ値段なんですから!あむあむ…」

   ヒメゴはそう言いながらハクガにと持ってきたお団子も一口ぱくりと飲み込んだ。
   しかしそんなことには目もくれず、ハクガはじっと考え込んでいた。

「どうも納得がいかんな…」

「そんな眉間に皺を寄せていたら鬼になっちゃいますよ?」

「鬼にでもなってしまえば大層楽だろうな?」

ハクガはキリッとヒメゴを睨みつける。

「お、お兄様冗談ですってば」

   ヒメゴはごくんと唾を飲み込んだ後、「あ、そうだ。」と思いついたように声をあげた。

「鬼と言えば数日前…赤鬼あかぎの奴らがまた領土申請したいだとか頼み込んできたんですよー。それで、その時は俺しかいなかったもんでまた後日来るとか言ってました。だから今日辺り来るかも……」

「今はそんな奴らに構っている暇はーーーー」

   ハクガがキッと宙を睨みつけるとそこから煙のような巻き、突如として赤い角を生やした鬼が登場した。
   これが例の赤鬼と言うやつだ。
   赤鬼は赤黒い瞳にニヤリと牙を見せつけながら悪戯に声を上げる。

「俺らに構う暇はあるよなぁ???お狐さ・ま♡」

「うわぁぁあ!!!本当にきたぁあ!!!」

   ヒメゴはあまりの驚きに尻もちをついて、手に持っていた最後のみたらし団子を地面に落としてしまった。

「うぁぁあ!お団子おおお!」

   半泣きのヒメゴを他所に、ハクガは嫌そうな顔を浮かべながら赤い鬼を睨みつける。

「なんのようだ?私は忙しいのだが。」

「そんなことないんじゃないすかー??珍しく仕事もすっぽかしてるし?さっきからずっとそこで腕を組んでるだけじゃない?」

「腕を組んでいるだけではない。重要な考え事をしている。お前らの要求は後にしてくれ。」

「いやぁ、それがそんな訳にはいかないんですわー。俺らにも期限ってもんがあるんで。」

「領土の事か。それなら既に断わったはずだが。」

「違うんすよー。最近気味悪いことがおこってるんすよー。」

「例の化け物のことか?」

「んー、どうなんすかね?俺も直接的なことをされた訳では無いけど…仲間が騒いでてさぁ…」

「ほう…。それなら後で調べさせてもらうか。だが、その前に私には解決しなければならないことがある。」

「あ、そうそう。その重要な考え事ってなんすか?」

   赤鬼はニヤニヤと興味津々にハクガの顔を覗き込む。
しかしそれにハクガは答えず、代わりにヒメゴが答えた。

「お兄様は今契約者に構ってもらえず嫉っ……こほん。大変な状況にあるんですよっ」

   今にも掴みかかりそうな腕を伸ばしたハクガに気づき、ヒメゴは慌てて言葉を言いかえた。

「へぇーー。あのお狐様が契約者?それは面白い。どんな相手を選んだんすか?狼子供?はたまた、化け猫の輩か?」

「それが……普通の人間の子供です。」

   ヒメゴが気難しい顔をして言うと、赤鬼もこれには口をぽかんと開けてしまった。

「普通の子供…?んなまさか。あのお狐様がねぇ…」

「俺も信じ難い事ではあったけど、本当ですよ。」

「なっ…まじなのかよ!?」

「相手が誰だろうとお前らには関係がないだろう。ヒメゴも余計なことを言うな。」

「うっ…ごめんなさいお兄様…」

「へぇーー。その様子だとまじなんだ?え?どんな相手なんすか?ねぇねぇ」

「はぁ……今はそんなことを呑気に話している場合ではない。」

「ふぅーん…。」

   赤鬼は暫く腕を組んで考えていると、途端に何かを閃いたように顔を上げ、意味深しげにニヤリと歯を見せると、ハクガにそろりと耳打ちした。

「ねぇ、その人間に構ってもらえなくてモヤモヤしてんなら、取引しない?」

「なんの取引だ。」

   ハクガはそれでも無愛想なまま、赤鬼を睨みつつ答える。

「くくっ…まあまあそんな怪しむなって~。最近仲間が見つけて面白~い粉薬があるんだけどさ?なんでも相手に飲ませると、相手が自分に夢中になって堪んなくなっちゃうらしいよ?」

「そんなものあるわけなかろう。馬鹿げたことをいうな。」

「全くお狐様は頭が硬いですねぇ?」

「なんだ?」

   ギリギリとした目線で睨みつけるハクガに、それを横目で見ていたヒメゴはヒッと肩を竦める。
   あまりの剣幕に赤鬼も若干引きつつ、「まあまあ」と宥めると、「そんなに信用ならないなら、良い考えがありますよ?」とニタリとした。

「その粉薬、まずはお試しっつーことで、タダであげますよ。それならどうです?実際に効果を体験してみて、もし良かったら、領土拡張するってことを契約してくださいよ。ダメだったら、もう言いに来ませんから、ねぇ?」

   縋るように強請る赤鬼に、ハクガはとうとう痺れを切らして大きなため息をひとつついた。

「お、お兄様?……こ、こら赤鬼!お兄様が呆れて……!」

「まあ、そこまで言うのならいいだろう。はようその粉薬を寄越せ。」

「お兄様!?まさかその手の話に乗るのですか!?」

   ヒメゴは目玉が飛び出るかのような勢いだった。
   まさかこんな話にあのお兄様が乗るなんてーーーーあの人間、よっぽどのことをしたのだな、とヒメゴは改めて思うのだった。

「本当っすか!?よっしゃあ!じゃ、渡しておくんで…!試し終わったら呼んでくださいねぇ!」

   赤鬼はハクガに白い小さな紙袋を1つ手渡すと、そのまま走るように消え去って行ったのだった。

   その後暫しの沈黙の後、ヒメゴが口を開いた。

「ほ、本当に使うんですか?それ…鬼に効果があるってだけで人間には効かないかもしれませんよ?」

   ましてやあのホラ吹きな赤鬼が言うことですし。とヒメゴは小さくつけ加えた。

   だがハクガの意思は変わらなかった。

「試してだめならそれでいい。それまでの話だ。」

「そ、そうですけど…。お、お兄様!」

「ヒメゴは待っていろ。」

「うわぁあん…お兄様ぁぁあ!!!」



ーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



   お狐様が来なくなってかれこれ2週間ほどが経った。

   あれから夏休みに本格的に入り、祖母の手伝いや買い物に付き合ったりするような日常で、特に何も変わらない日々が続いているが、やはり春樹の胸の中では大きなモヤモヤとしたものが浮かび上がってくるのだった。

(お狐様、まさかまだ引きずってるんじゃないだろうなぁ…)

   春樹は出掛けた祖母を見送った後、一人夏休みの宿題を片付けているところだった。
   テーブルに置かれたお饅頭は、祖母の手作りでこし餡が引き詰められていてとても甘くて美味しい。

   春樹はシャーペンの芯をトントンと叩きながら、天井を見上げる。
   いつもだったらそれこそくるのは突然で不定期だけれど、3日に1度は来ていたように思うし、まして2週間も来ないなんて言うのは普通ではないような気がした。

   あんなことで言い合いになっても、お狐様ならまた突然に現れて、なんともないような顔をしてセクハラ行為をしてくるのではないかーーーーーと自分は心の中で安心していたのかもしれなかった。

   もし本当に、ずっと来なかったら…。

   相手がずっと怒りに震えていて知らぬうちに春樹の身体に呪いをかけれていたらーーーーー?

   そう思った瞬間、春樹は軽い身震いをして、思わずお饅頭を口に含んだ。

(まあお狐様だって、神様の類なんだしそんな偉い人に歯向かうなんて僕が間違ってたのかもしれないよな…)

   謝らなきゃいけない。そんな気持ちになっていく。
   でも会えない。どうしたらいいのだろうーーーーー?

   と、そんなことを考えていた直後だった。
   襖の向こう側でボワンという音が聞こえてきたのだ。

   久々に聞いた音だった。紛れもなく、お狐様が来た音だ!

   春樹はそう思って襖を思いきり開ける。
   するとそこには、着物姿のお狐様が黒い髪をかきあげ、こちらをじっと見つめていた。  
   赤い瞳が、尖っていると言うよりは、思ったよりも柔らかくて春樹は驚いた。

(う、嘘…お狐様が目の前に……ってそんな見つめてる場合じゃ…)

「お、お狐様…っ…あっ…お、お久しぶりです。」

   考えていた矢先の事でか、2週間ぶりで何を話せばいいか分からなくなったのか、片言のようになってしまった。

   お狐様は春樹の言葉を聞き終わると、「ああ」と小さく呟いた。

「あ、えっと…その……」

(どうしよ?謝った方が、いいかな…?)

   春樹がそう思っていると、突然お狐様は優しい笑みになって、春樹の髪の毛に触れた。

   ドキンと胸の鼓動が静かに音を立てる。

「すまなかったな。あの時は…つい、感情的になってしまったようだ。」

   いつもに増して優しい口調で春樹も慌てて謝る。

「あっ、い、いやいや僕の方こそごめんなさいっ…お狐様は偉い人なのに…それなのに……あんな歯向かうようなこと平気で言ってしまって…本当にごめんなさい。」

「ああ、もう怒っていないよ。それより春樹、久々にお茶しないか?」

「お、お茶ですか?」

(ん?なんで急に…?)

「ああ、和解したということでな…まずはゆっくり言葉を交わそう。」

   春樹にはよく分からなかったが、とりあえずお狐様が戻ってきてくれたことが、そして謝ってくれたことが嬉しくて思いきり頷いた。

「い、今用意しますね!!待っててください。」

   春樹は慌てて台所へ行き、茶棚から急須と湯飲みをふたつ取り出して、直ぐにお茶を入れた。
   丁度30分前にお湯を沸かしたところでタイミングが良かった。

「もう、お狐様が戻ってこないのかと思いましたよ。」

   お狐様にお茶を差し出すと、お狐様は快く受け取った。
   なんだかいつもと雰囲気が違う。

(反省しているからかな…?)

「いや、大切な契約者だからな。そんな事は無い。」

「そ、そうですよね!」

   ーーーー大切。
   なんだか契約者なのに、その言葉だけでそれ以上な感じがしてしまい、嬉しいのか恥ずかしいのか春樹は変な気持ちになる。

「そういえばもう夏休みなのだろう?最近はどうだったんだ?いつものような宿題とやらをやっているのか?」

「さっきまでやってましたよ!あ、ていうか…そうだ!この前美味しいの買ってきたんでお狐様ぜひ食べて下さい!稲荷なんでお狐様喜ぶかなって…」

「おお、それは嬉しいな。是非とも味わってみたいものだ。」

「持ってきますね!」

「ああ…」

   春樹が台所へ向かうと、お狐様はそうっと白い紙袋を取り出した。

ーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

「これです!稲荷寿司!凄く美味しいんですよ!」

「ご苦労だな。それじゃあ頂くとするか。」

「はいっ」

   春樹がそういいつつお茶を飲み込むと、その瞬間喉が焼けるように熱くなる感覚が襲った。

(えっ…?)

   お茶はもう冷めたはずなのに。
   あまりにも一瞬のことでよくわからなかったが、何故かそれが違和感だった。
   けれどお狐様とお茶なんて嬉しくて、結局全部飲み干して稲荷寿司も二巻食べてしまった。

   その後、すぐの出来事だった。
   何故か物凄く体が火照るような感覚に陥ったのだ。

「お、お狐様…部屋暑くないです?あれ?お狐様って温度感じるんでしたっけ?」

「温度は感じることが出来る。人間をそのままにしたようなものだからな。」

「そっ…そっか……」

(あれ、なんかぼやっとするな…。なんでだろ…?)

   するとそのうち、下半身がムズムズするような感覚に襲われ、思わず春樹は顔を歪める。

「うん?どうした。春樹」

「えっ……あ、いや……はっ…」

「息が荒いが?何かあったのか?」

「えっ…い、いや特に…なにも…」

   そう言いつつお狐様の顔を見ると途端にきゅっと何かが締め付けられるような感覚になって思わず畳に倒れ込んだ。

「春樹?」

「お、お狐様…すみません…はっ…ちょっとトイレ、行ってきます…」

   お狐様はその様子を何故かマジマジと見つめ、もう一度近くへ寄ると「春樹」と名前を呼んだ。

   その瞬間、なぜだか心臓が高鳴って意味のわからない気持ちに押しつぶされそうになった。

(な、なんだ…これ…なにが、起きてるんだ…?わかんないのに…)

   体制を崩したところをお狐様に抱き寄せられ、春樹の胸は一気に高鳴った。

   そしてなんと、春樹は気付かぬうちに自らお狐様に口付けをしていたのだった。

「えっ……い、いま僕…」

   お狐様の顔を見てもとても驚いているようだった。

   しかし次第に何かを面白がるようにニヤリと口角を上げると、突然春樹のズボンをずり下げた。

「うあっ…ちょっ…何するんです!?」

   そして異常な程に熱くなっているそれを掴むと、満足したように微笑む。

「何もしていないというのに、これはなんだ?こんなに濡らして…熱くして…」

「ち、ちがっ…な、なんでっ……はぁっ」

   下着も脱がされ、それが露わになる。

(う、嘘だろ僕…ただお狐様を見ただけなのにこんなに胸が高鳴って…こんなに反応して…)

「私がそんなに欲しいか?春樹」

「えっ…そ、そんなこと……っ」

   グイッと顔を引き寄せられ、熱い接吻が交わされる。
   もう頭がとろけそうだった。

   お狐様の手が、舌が、視線が…なぜか異常に欲しくなってたまらない。

   自分はどうしたのだろうか?

「はぁ……私がいない間、寂しかったか?」

「んぁっ…はぁっ…そ、それは…」

「素直に言え。そうしたらお前が泣きわめくほど気持ち良くしてやろう。」

「あぁっう……寂しかっっ…た…」

   気が付かないうちに舌が回って、そんなことを言っていた。
   なのにそれを取り繕う暇さえなく、お狐様の手がそれを激しく擦り、思考をぐちゃぐちゃにする。

(気持ち…いい……)

「そうだ。お前は私がいないと何も出来ないだろう?こうやって気持ち良くなることも、私がいればお前はそれでいい。そして私だけにその身体を捧げればいいーーーーー」

「お狐様っ…んはぁっ…い、入れて……」

「なら、約束をしろ。誰よりも私を優先すると…そうしなければならない。私の命令だ。」

「はぅっぁっ…ぁっ…ゆ、優先…すっる…?」

「そうだ。どんな大切な男だろうと関係がない。私はそれよりも上回るほどお前にとって大切な存在だ。そうだろう?」

「あぅっあっあっっ…うふぁぁいっ…」

   ぐちゃぐちゃに掻き回すように、お狐様のそれが激しく奥を突く。
   でも気持ちよくて、これ以上にないくらい欲しくなって。

(僕、こんなにお狐様が欲しかったの…?)

   いつもはセクハラ行為だとか、変態だとか言って投げやりにしてきたことなのに、何故ーーーーー

   久々に会ったから?

「お狐様ぁあっ…」

「春樹っ………」

「い、いくっ…あっやぁっ…」

「お前の全てを私が支配してやる…」

「お狐様ぁっ………はぁっあっ…」

「春樹…」


「好き……お狐様っあっ…」

   春樹がそんなふうに言い、お狐様の腕に手を伸ばすと、お狐様は驚いたように春樹の手を押さえつける。

「っ…今、なんと言った?」

「ふぇえ?」

「私のことがなんといった…?」

「ええぇ…好きって……ふふっ」

「……………ほう。」

「なんですか…?お狐様ぁ…」

「この薬の効果は只者ではないようだな…」

「薬ってなんのことですかぁ…」

   ちゅっ……

「そんなことは気にしなくていい。それよりももっと私を楽しませろ。その可愛らしい体で欲しがってみろ。春樹……」

「あっあぁっあっ…お狐様っは、激しいっ…ぁあっ……」

   ズンズンと奥に入っては手前に引いて、淫らな液を垂れ流してーーーーー
   そんな行為が3時間も4時間も行われた後、春樹は腰の痛みで目を覚ました。




「いってて……な、何だこの痛み……ってあれ?お狐様?」

   そこにはお狐様の姿はなかった。
   あれからの記憶がとんでもなく薄く、よくわからない。
   けれど確かにお狐様がきてーーーーー
   ふとテーブルに目をやると、湯飲み茶碗がふたつ置かれていた。
   その真ん中に、何やら小さい紙袋とそこから薄い粉のようなものが零れていた。

「な、なんだこれ……?」

   それを舐めて確認してみると、喉に焼けるような感覚が走った。

(あ、あれ…この感覚さっきーーーーー)

   その瞬間、自分が先程までされていたことや自分がしたことが鮮明に甦って、春樹は日の落ちた夕方だというのに叫んでいた。

   あの頑固なお狐様が素直に謝るわけが無いことなど、とうの昔に知っていたはずだというのに隙を見られたのだ。




「くっそおおおあんの変態キツネ野郎!!!!久々にきて、反省したと思ったら……!絶対許さねぇぇぇぇぇ!!」


   とりあえず泣きたい気分だった。




   ーーーーー…一方その頃…ーーーーー



「あの効果どうでしたぁ?お狐様ぁ??」

「まあ、悪くなかったな。だが、まだまだだったようだ。」

「えええ!そんなぁ!!!あんな薬に勝てるやつなんているんすね!?」

「まあ、ほんの少し体が鈍った程度といったところだな。それで提案だがーーーーーもう一袋、その薬を渡すというのなら、次は取引を検討してやろう。」

「ええぇ!あれすげぇー効果で貴重なのにっ…やっぱ人間には効果ないんすかね?……まあ仕方ないっす。今回は特別っつーことで、本当にあともう一袋だけっすよ?」

「ああ。それで良い。渡せ。」

   赤鬼は躊躇いつつも白い紙袋を再びハクガへと手渡した。
ハクガはそれを大切に懐の奥にしまうと、赤鬼に背を向けニヤリと笑を零した。

   しかしそのハクガの笑みを影で見ていたヒメゴには、赤鬼よりも悪い魂胆が透けて見えたような気がして思わず冷や汗を垂れ流した。

(お、お兄様まさか…………)

   そして改めて、お兄様が強いということを確信したのだった。
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