夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

☆リサーナ☆

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第25章(3)ディアスside

3-2

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***

マオ様が毒薬を飲まされて倒れた数日後。
私は運命を変えてくれる女性ひとに会った。

……いや。
"再会した"という方が、正しいのだろう。


「!!ッーー……貴女、はっ……。まさか、っ……生きておられたのですかっ?」

夢の配達人の元最高責任者マスターであるギャラン様に呼び出され、訪れた隠れ家。一緒に居たその方を見て、私は信じられなかった。

艶やかな長い黒髪。
漆黒に輝く、宝石のような黒い瞳。

私の目の前に居た女性は、リオン様の想い人であり、ヴァロン様の母である、アンナ様だった。
更に驚くべきは、その姿。
何故ならその姿は、最後に見たあの日と……。三十年前のあの日と、全く姿が変わって居なかったからだ。


聞きたい事は色々あった。
けれど、突然すぎて……。言葉が上手く出て来ない。
すると、そんな私を見て口を開いたのはアンナ様。

「……単刀直入に言います。
私に、力を貸して頂けませんか?」

「!……え?」

「お願いしますっ……!」

「っ、……」

私にそう言い、頭を下げるアンナ様。
その様子にますます驚く。


だって、私が知っているこの人は……。
リオン様に媚びるようなのに息子であるヴァロン様には厳しくて、そして昔私や他人には挨拶すら口にせず、いつも睨むような視線を向けていた。
人とのコミュニケーションが明らかに欠落していて、まともに話せる人ではなかった筈だ。
その人が、しっかりと話し、私の目を見て、頼み事をしている。
そればかりか……。

「貴女は今、spellbindスペルバインドに縛られているでしょう?」

「!っ……」

「私が、その呪縛を解きます」

「っな、……」

「私に手を貸して下さる。
そうお約束頂けるのなら、呪縛を解き、そして貴女の知りたい全てをお話する事を……私も約束します」

アンナ様が私に、強い鋭い眼差しを向けた。
その瞳に見つめられて、私は良い意味で、どうでも良くなった。

何故この人が、私にspellbindスペルバインドがかかっている事が分かったのか。
何故この人に、spellbindスペルバインドを解く能力ちからがあるのか……。

嘘偽りない、と私に向ける眼差しが告げていたのだ。
この方は"我々がお仕えする一族の方なのだ"と。
気付けば私は、アンナ様に「かしこまりました」とひざまず跪いていた。
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