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第13章(1)アカリside
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しおりを挟む寝室のベッドに座り、ゆっくりと小包を開けていく。
包装された紙の上から触った柔らかい感触と、そんなに重くない、クッションのような感覚。
ガサッと、包装紙から品物を取り出すと……。
「っ……可愛い」
見た瞬間に、言葉が漏れて……。
そして、ずっと堪えていた涙が静かに頬を伝った。
包装紙に包まれていたのは、猫のぬいぐるみ。
去年長期任務から帰ってきたヴァロンが、ヒナタにあげていた手作りの猫のぬいぐるみ。
良い年をして、拗ねて自分も欲しいと強請った私に……。作ると約束してくれた、ぬいぐるみだった。
”っ……わりぃ。また、作るから。
アカリの事想いながら、あの猫より可愛いの……作るから。……許してくれよ、な?”
猫バロンを思い出させてくれる、手作りの三毛猫のぬいぐるみは……。
あの約束を決して裏切らない。
ヴァロンの深い愛を感じるには充分な、誕生日プレゼントだった。
ぬいぐるみを抱き締めて、私は泣いた。
泣いて、泣いて、泣いて……。
涙が枯れてしまうのではないかと思う位に泣いて…。
……
………。
ようやく涙が止まったその夜に……。
手紙を読んだ。
自宅に帰宅する前に寄った夢の配達人の隠れ家で受け取った、手紙。
ヴァロンに託された白金バッジをマスターさんに手渡すと、それと引き換えるように渡された通帳と一通の手紙。
それが何を意味するのか解りながら……。
自分でこうなる道を選びながら、私の覚悟なんて本当に足りなかったと思う位の後悔が溢れた。
私とヒナタとユイちゃん。
ヴァロンが私達家族に遺してくれた想いの形。
手紙を読んでしまったら、ヴァロンとの別れを……。
夢でない現実なんだと思い知らされてしまうから、読まないつもりだった。
……。
でも、あの日私達を出逢わせてくれた猫バロンのぬいぐるみに励まされるように……。
私は、手紙を開いていた。
……
…………。
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