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第10章(3)アカリside
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しおりを挟む今までヴァロンに触れてもらって、抱かれるという行為は嬉しさに満ち溢れ、幸せ以外の何物でもなかった。
自分が普通の女の子よりもエッチなのかと思うくらい、もっともっとと求め合って……。永遠に触れ合っていたいとさえ感じた時間。
でも……。
それは、全て相手がヴァロンだからだった。
愛おしい彼の手と唇だから触れて欲しいと、素肌の体温を心地良いと感じたのだ。
こんな時に改めて実感する。
もう、私は絶対にヴァロン以外を愛せないと……。
「!っ……い、ゃあぁぁーーーッ!!」
アラン様にスカートの中に手を忍ばされて、思わず大きな声で叫んだ瞬間…。
「!!ッ……?っ……うッ!」
気持ち、悪い……っ。
急激な吐き気に襲われて、私は片手で口元を押さえると身をギュッと縮こませた。
っ……ダメ、吐くッ。
「!……っ?……アカリ様?」
「ッ……!!」
今までと違う私の反応に躊躇したアラン様。その隙にもがくようにして私はベッドから降りると、耐え切れず側にあったゴミ箱に吐いてしまった。
捕らえられて以来、あまり物を食べていなかったから吐く物は少ししかなく。吐いた後も治らない、胸がムカムカする不快感。
っ……やだ。私、どうしちゃったんだろう?
アラン様に無理やり触れられたから……。
と、いう感じでもない。
……。
その時。ふと、以前にもこんな吐き気を経験していた事を思い出した。
あれは、そう……。
赤ちゃんを、ヒナタを身籠った時。
……私、そういえば。
今月、まだ生理……きて、ない。
自分の記憶の中にある最後の月のものは、ヴァロンと二人で夫婦旅行に行く少し前に終わった。
それ以来、きていない事に気付く。
もしか、して……。
……赤、ちゃん。
そっと片手で自分のお腹に触れてみる。
あり得ない話ではない。
あの温泉旅行で二人目の子供を欲しいと言ってから、ヴァロンは帰宅する日はいつも私を愛してくれた。
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