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第8章(2)ヴァロンside
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しおりを挟む「!……ヴァロン?どうしたっ?」
「っ……はな、せっ!」
片手で頭を押さえて、顔をしかめる俺を支えようとしてくれたマスターの手を振り解くと、床に置いていた自分の鞄を掴む。
アカリを助ける。
痛み続ける頭の中で、今ハッキリ考えられるのはそれだけだった。
依頼書を鞄に詰め込んで、部屋を飛び出そうとした時……。
「っ……待って下さい!ヴァロンッ!!」
背中に抱き付く様にして、シュウが身体全体で俺を引き止めた。
「行っては駄目ですッ……!一人で行っては危険です!!」
必死な声が背中から響く。
分かってる。
シュウは、俺を心から心配してくれていた。
俺が首を絞めた時も……。
俺を殴る事も、蹴る事もせずに、そのままでいてくれたよな?
苦しかっただろうに……。
今も、少し咳き込みながらも、俺に語りかけてくれている。
「みんなでっ……、みんなで考えましょうっ?
アカリさんを助けましょう!」
マスターだって、そうだ。
俺にシュウを殺めさせないように、俺が罪を犯さないように……。仕方なく、すぐに依頼書を渡してくれた。
「私とヴァロンなら出来ない事なんてない。っ……そうでしょう?ヴァロン……ッ」
「っ……る、せぇ……」
それなのに、俺は……。
自分の後悔に耐え切れずに、シュウに当たる。
「っ……うるせぇんだよッ!!!!」
溢れ出した後悔と、邪魔な位に俺を遮る頭痛を抑えきれなくて……。
俺はシュウを思いっきり振り解いた。
ガッターンッ!!!
と、部屋に響く激しい物音。
俺に振り解かれたシュウは、ソファーにぶつかって、床に倒れた。
「!っ……シュウ!
シュウ!大丈夫かっ……?!」
マスターが駆け寄って、支えられながら上半身だけ起こしたシュウと……。俺の瞳が重なる。
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