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第7章(3)シュウside

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……
…………。

「っ……。
ヴァロン様が、アラン様と……兄弟?」

話を聞いて、レナとレイは呆然としていた。

この事件が誰が起こしたものなのか……。大体二人にも予想はついていたのだろう。
私がある程度話すと必要以上には質問してはこず、自分達の中で今聞いた現実を受け入れようとしている様子で黙り込む。


……しかし。
私の話の後に、付け加えるようにマスターが真剣な面持ちで話し始めた。
それは……。それこそが、全ての答え。


「ヴァロンに直接刃を向けるのではなく、敵はアカリさんをさらって人質を取った。
……つまり、敵の目的は”復讐”やヴァロンの”命”ではない」

マスターはそう言うと、私達に見えるように一枚の依頼書をテーブルに置いた。
それは、以前アラン様からヴァロンに届いた指名依頼書。


その時、私はふとおかしいと感じた。
先程の私の話の流れ、そしてこの依頼書を出しておきながら……。
マスターが今回の事件の犯人を”アラン様”ではなく、”敵”と表現している事に……。


「これでハッキリした。
おそらく、敵の目的は”ヴァロン自身の奪還”。
”マオ”としてのあやつを、自分達のものにするためじゃ」

「!?っ……これは、ッ……」

マスターは話しながら、もう一枚の指名依頼書をテーブルに置く。
それは、私も今日初めて見る依頼書で……。思わず目を見開いて固まった。


ずっと疑問だった。

ヴァロンとアラン様が兄弟。
アラン様が妾の子供であるヴァロンを恨んでいる復讐目的ならば……。
何故、”夢を叶えろ”などという回りくどいやり方でヴァロンを傍に置いたり、再び依頼書を送り付けて呼び戻そうとするのか。
自宅のセキュリティーを落とし、アカリさんを連れ去ったのか……。

直接的にヴァロンを傷付けるよりも、更に深い悲しみを与えるのが目的なのかとも思ったが……。
それならば敵は、アカリさんをその場で殺害する筈。

……。
違った。
そんな、事が目的ではなかった。
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