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第7章(1)レナside

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【2月14日/港街】

「あ~、朝から疲れたぁ~!
レイ、お腹すいたよ~喉も渇いた~……」

「あ~もう!姉さん、重いから寄りかからないでよ。
報告完了したら朝ご飯……。いや、お昼ご飯食べに行こう。ね?」

もたれかかる様にして歩く私を支えながら、弟のレイは通信機を取り出して、ついさっき終えた仕事の報告を始めた。


今日はある銀バッジの新人夢の配達人が、金バッジのベテラン夢の配達人に、明らかに無謀な下剋上を仕掛けた、と連絡を受けてその場に立ち会ってきた。

結果、実力差は明らかなのに銀バッジは”負けてない”だの”もう一度勝負”だの言い出し。
金バッジも金バッジで大人気なく”じゃあ、もう一度やるか!”って揉め出すし……。
ホントに、勘弁して欲しかった。

けど、まあ仕方ない。
この2月と3月は決算。つまり4月からの新しいスタートに向けて最後の追い込みで、下剋上したり、順位を少しでも上げようとする夢の配達人が多い時期なのだ。


なので、この時期は配達人だけでなく調査員もバタバタと色んな場所に駆り出されて手一杯。
まさに繁忙期というやつだ。
いつもはヴァロン様専属のように動いている私とレイも、この時ばかりはそうもいかない。


「あ~……。
アカリさんのご飯食べた~い」

ヴァロン様を思い浮かべると同時に、奥さんのアカリさんの事を思い出す。

ヴァロン様は私達姉弟にとったら、神様のような存在。尊敬してるし、誰よりも憧れている大好きな人。
だから正直、最初に”お嫁さん”という存在のアカリさんを素直に受け入れたくない、と思う自分がいた。

私は多分、嫉妬してたんだよね。
恋というよりは、お兄ちゃんを彼女に取られたって気持ちのが近い感じで、ちょっと面白くなかった。


簡単に他人に笑顔を見せたり、心を開いたりしないヴァロン様が選んだ特別な人。
そんなヴァロン様が何故アカリさんを選んだのか、理由はすぐに分かった。
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