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第6章(2)ユイside
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しおりを挟む「!……えっ?……え?なんで?」
ここの管理人や警備の人は全て元夢の配達人で、その中でもマスターさんが選んだ特別な人達だと聞いていた。
安全性が高く、ヴァロンさん達のように位の高い夢の配達人の私生活を守る為に建てられた家。
それなのに……。
この静けさ、解除されている自動扉。
「……っ!」
絶対に怪しい。
そう確信して、私は自動扉を通り抜けると一目散にヴァロンさんの部屋を目指して階段を駆け上がった。
この建物の最上階の角部屋にあるヴァロンさん部屋。
長く感じるのは、心拍数が上がるのは部屋が遠いからじゃない。
嫌な予感がする。
どうか気のせいであってほしい、と願いながら……。
私はヴァロンさんの部屋の前に辿り着いた。
【ヴァロンの自宅】
呼吸を整えて、呼び鈴を鳴らそうとしたけれど……。
私は本能的にその手を呼び鈴からドアノブに移して、ゆっくりと回した。
……。
思った通りに、開いている扉。
ドキンッドキンッと身体に響く様な自分の心臓の音。
震えそうな手でゆっくりと、音を立てないように扉を開けて玄関に入ると……。
「よし、この女を連れて帰るぞ」
奥から聞こえた、聞いた事のない男性の声にビクッと身体が揺れる。
その直後に複数の足音がこちらに近付いてきて、その内の一人の男性が「アラン様」と、言った。
アラン様。
それは聞いた事がある名前。
少し前にレナさんとレイさんから聞いた、以前ヴァロンさんが行っていた長期任務の依頼人。
俯いていた視線を少し上げると、私の方に進んできた一人の黒スーツの男性が口を開いた。
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