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第6章(1)アカリside
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しおりを挟む「ッ……やっ、……嫌ッ!
放してっ!はな……ッ、むぐっ!」
咄嗟に暴れて騒ごうとした私の口をアラン様の大きな手が覆い、耳元で囁くように言われる。
「……大人しくしていろ。
お前が大人しくすれば、ガキの命は助けてやる」
「!っ……?」
その言葉に”まさか……。”と、私が騒ぐのを止めると……。アラン様は私の口から手を離して、指をパチンッと鳴らす。
すると、どこに隠れていたのか黒いスーツを着た男達が現れ、拳銃を胸ポケットから取り出して……。
ヒナタの眠るベビーベッドがある部屋の方に、視線を向けていた。
……。
血の気が、一瞬で引いて……。
身体が冷たくなっていく。
目の前が真っ白になるような感覚の、私の頭に浮かぶのは……。
いつも幸せそうに、ヒナタをあやしているヴァロンの笑顔だった。
「ッ……ゃ、……や、め……て……」
無気力状態の私の口から漏れた、声。
ヒナタに何かあったら、ヴァロンは……。
あの笑顔は、もう永遠に失われてしまう。
宝物。大切な宝物。
ヴァロンとヒナタの笑顔は、私の宝物なの。
涙が、頬をすぅ……っと流れたと同時に、私はすがり付く様にアラン様の服を握り締めて訴えていた。
「っ……お願い、します……ッ。
大人しくしますっ!だから、ッ……あの子には触らないで下さいっ!」
「お願いします」と泣きながら繰り返す私を見てアラン様は満足気に笑うと、黒スーツの男達に拳銃をしまうように指示をだす。
「いいだろう。
ヴァロンを誘き出すには、お前がいれば充分だからな」
「!……」
アラン様の言葉に安心すると同時に、私は「え?」と自分の耳を疑った。
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