夢の言葉と失われた追想【続編④】

☆リサーナ☆

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第5章(2)ヴァロンside

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「!……そうだ、アンケート。
お前、あん時に割引券くれたクマだろ?」

アカリとやった商店街のアンケート。
それを配っていたクマの着ぐるみを着ていた人物の声に、よく似ていた。

謎が解けたら俺の警戒も一気に解けて表情を緩ませると、驚いた表情をしていたディアスも微笑んだ。


「ご名答。声だけで分かってしまうとは……。さすがですね、ヴァロン様」

「”様”とか付けなくて、ヴァロンでいいぜ?
あんたの方が年上なんだし、敬語もいい」

ディアスの親しみやすい人柄に、俺は本心からそう思って言った。
普段はあまり他人に気を許さないが、そんな俺でも”こいつは大丈夫”だと思う位、ディアスからは良い人オーラが出ている。


「いえ、そういう訳には参りません。
……貴方様は、大切な人ですから」

「?……俺、お前になんかしたっけ?」

ディアスの丁寧な断りと、”大切な人”という言葉に俺は首を傾げて見つめた。


アンケートの時より前に、会った事があるのか?
それとも、夢の配達人になったキッカケが俺とか……。元々、ファンだったとか?

色々な予想が浮かぶが、分からない。

……。
でも、なんか不思議な気持ちになった。
ディアスの黒髪と黒い瞳が、眩しくて、俺の瞳の奥を貫く。

それは、幼い頃に憧れた色。
俺がどんなに望んでも手に入らない、特別な色だったから……。


「……今から、お仕事ですか?」

「!っ……あ、ああ。
わりっ、もう行かなきゃ」

いつの間にか、見惚れていた。
ボーッとしていた俺に届いたディアスの問い掛けにハッとして、腕時計の時間を確認すると、予定の電車の時間が迫っていた。


「……じゃあ、な」

少し名残惜しさを感じながら足を踏み出すと、「ヴァロン様!」と名前を呼ばれて、俺はディアスの方を振り返った。
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