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第5章(2)ヴァロンside

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【夢の配達人隠れ家/シュウの仕事部屋】

ホノカさんの元を後にした俺は、今日これから向かう仕事の打ち合わせをする為にシュウの元を訪れた。

次に行く仕事は3日程かかる任務の為、シュウは事前に調べてくれた詳細をまとめた資料を俺に渡しながら説明してくれる。
いつもながら、俺がスムーズに熟せるように的確な指示が細かく書かれていて分かりやすい。


「……という感じに進めてもらえば、最短で終わる筈です。
何か、不明な点はありますか?ヴァロン」

「いや、問題ねぇよ。
あとは俺がミスらなきゃ完璧じゃん」

シュウの気遣いが込められた資料。
一通り目を通して鞄にしまいながらそう言うと、仕事の説明の時とは違った明るい声を弾ませてシュウが言う。


「ははっ、それなら心配ありませんね?
君なら期待以上の成果を上げてくれる筈ですから」

「……プレッシャーかけてんのか?」

シュウの言葉に俺が少し顔をしかめて見ると……。
目が合って、暫く見つめ合って、俺達は笑った。


”必ず白金バッジを持って来て、お前に見せてやる!”

”死ぬのは、俺が白金バッジ獲れなかったらにしろよ。”

”お前の目が見えなくなる前には、なんとか持ってこれる様に頑張るからさ。
……しっかり見てろよ。夢の続き。”……。


……あれから、もう二十年近くか。
目を悪くしたシュウに代わって、白金バッジの夢の配達人になるって決めた。あの日……。

それからずっと、こうやって2人で頑張ってきたんだよな。
俺は口も態度も悪くて、我が儘で、シュウに甘えてて……。本当にどうしようもなかった。


間違いない。
俺が今日まで白金バッジの夢の配達人でいられたのは、お前がいたからだ。シュウ。

その夢を、俺が続けられなくなっても……。
お前は変わらず、親友でいてくれんのかな?

俺達の絆だった、白金バッジ。
それを失った俺を、お前はどう思う?

……。
俺は……。マスターになったお前を、ずっと傍で支えていきたかったな。
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