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第3章(3)アカリside

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【旅行先/宿泊部屋】

「っ……」

深夜に喉が渇いて目を覚ますと、素肌のまま眠ってしまった私を暖めてくれるように抱き締めてヴァロンは眠っていた。

起こしてしまうかな?と思いつつ、ゆっくりと自分の身体を彼から離し、布団から抜けると畳の上に脱ぎ散らかしてあった浴衣を羽織って冷蔵庫のある場所まで移動する。
”水はたくさんあっても困らないから。”と、ヴァロンが幾つか買っていた小さめの水のボトルを一本冷蔵庫から取り出すと、フタを開けて口をつけた。


「……美味しい」

冷たく冷えた水が口の中を潤して、渇いていた喉を通っていく。普段よりもとても美味しく感じて思わず笑みが溢れた。


ヴァロンもきっとあのまま寝ちゃったんだよね?
喉、渇いてないかな……?

冷蔵庫の水は減っていなかったし、浴衣や下着も脱いだままだったから、彼も激しく愛し合った行為の後すぐに眠ってしまったに違いない。


いくら今が冬だとはいえ、ヴァロンもたくさん汗をかいていたし……。脱水症状になっては大変だと思い、私は飲みかけの水のボトルを持ったまま、彼の眠る和室に戻った。


……。

よく寝てる。……疲れてるんだよね?

私が布団から抜け出した時の状態のまま、ヴァロンは静かな寝息を立てて熟睡していた。
起こさないように静かに歩み寄り、そっと枕元に腰を降ろして寝顔を見つめる。

今日改めて実感した。
ヴァロンは本当に有名人なんだな、って……。
今まで一緒に出掛ける時。いつもヴァロンは変装してくれたり、人気を避けて細心の注意を払ってくれていた。
私を、守ってくれていた。

今日まで危ない事や、不安に怯えず暮らせていたのは全てヴァロンのお陰だったのだ。
いつもいつも、きっと気を張っていて……。私が喜ぶ買い物やデートの時も、彼は神経を擦り減らしながら自分に合わせてくれていたのだと気付く。
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