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第3章(2)ヴァロンside

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ミネアのサッパリとしたところは嫌いではなかったし、次期社長として彼女と仕事の話をした時は、正直驚かされたり考えさせられる事の連続で楽しかった。

そう言えば、近いうちにこの辺りで大きな仕事があるって聞いていたから…。その関係で滞在しているんだろうな。


「……綺麗な人、だったね」

「……え?」

ミネアの事を思い出していた俺に、アカリが言った。


「あの人、だよね?
ヴァロンと一緒に、雑誌に……書かれてた女性」

「……」

じっとアカリの真っ直ぐな瞳に見つめられて、俺は自分の失言に気付く。

アカリには嘘が付けず、ペラペラと素直にミネアの名前を出してしまった。
”本命の前で、呼び捨てで別の女の名前を出すのはトラブルの元よ!”って、昔リディアに散々言われてきたのに……。


「っ……アカリ。あの……」

「!……あ、違うのっ。
お、怒ってる訳でも……疑ってる訳でもないの」

変な誤解を与えてしまったかと戸惑う俺に、アカリは微笑んで首を横に振ると、そっと寄り添ってきて胸に顔を埋める。


怒ってる訳でも、疑ってる訳でもない。
そう言っているけど、どこか様子がおかしいアカリを抱き締めていると……。
暫くして、抱き付いたまま俺を見上げて彼女が言った。


「……ね、さっきの声。もう一度出して?」

「?……え?さっきの、声?」

突然の要望に首を傾げると、アカリは少し照れたようにお願いを続ける。


「さっき、演技してた時の声……。格好良くて、ドキドキしちゃった」

「ッ……」

ハニカミながら上目遣いで訴えてくるその仕草に、思わずドキッとした。が、改めて演技をすると言うのも何だか小っ恥ずかしくて……。俺は自分の顔に熱が帯びてくるのを感じた。


「アカリは、ドMなんだな……」

「?……え?ど、えむ……??」

口元を押さえて俺がボソッと呟くと、アカリは首を傾げてキョトンとしている。
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