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第2章(2)ユイside
2-2
しおりを挟むだから表向きは、私はマスターさんの古い友人の娘。つまり、診療所の先生達がマスターさんの友人って繋がりで、社会勉強の為に島を出た私を預かってくれている事になっている。
「私からしたら、お二人の方がすごいです!
人々の望みを叶える夢の配達人を守る、素敵なお仕事ですね」
夢の配達人を守る。
それはつまり、ヴァロンさんを守る事に繋がる仕事。今の私には、一番と言っていいくらいに羨ましい職業だった。
目を輝かせる私に、二人は顔を見合わせて微笑むとゆっくりと話してくれた。
なぜ自分達が調査員になったのかを……。
「私達が8歳の時に、住んでいた町で大きな爆発事故があったんです。
私とレイは幸い無傷だったですが、私達を逃がそうとしてくれた両親は……。瓦礫の下敷きになってしまったんです」
「ボク等は必死で、町中を走り回って助けを求めました。
……けど、誰も助けてくれなかった。
救助は、お金持ちや力のある人達が優先で……。
庶民は後回しだったんです」
それは悲しい現実。
身分差が激しい地方では、当然のように行われる事。
どんなに軽傷でも、金や力のある者だけが生き残れる世界。
「何も出来なくて、”誰か助けて!”って泣き叫んでたら……。その時に駆けつけてくれたのが、ヴァロン様とシュウ様だったんです」
「崩れた瓦礫をヴァロン様が退かしてくれて、下敷きになっていた両親をシュウ様が助け出してくれました。
……すでに、亡くなってたんですけどね」
「……」
その過去の話に相槌も打てず、ただ黙って話を聞いている私に二人は微笑んでくれた。
そしてその後。
両親の亡骸にしがみ付いて泣いている間、ヴァロンさんがずっと側に居てくれたのだと……。
何も言わず、ただ側に居てくれたその存在がどれほど自分達の励みになったか、話してくれた。
しかし、事故の翌日。
親を失くした二人を待っていたのは、別々の元へ引き取られるという宣告。
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