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第1章(4)ヴァロンside
4-3
しおりを挟む俺は今までも、何度もアカリに救われた。
彼女の優しさや、真っ直ぐで素直な心に、何度も励まされてきた。
本人が思っている以上に、良い女だと分かっていた。
……けど。
こんなにも、また”敵わない”と思い知らされる。
「……アカリは、すごいな」
思わずそう口から溢れて、俺は微笑った。
迷いとか、不安とか、恐怖が、薄れてく。
「言ったでしょ?
私はどんなヴァロンでも、何度でも恋をして好きになるって。
それは、私が自分自身で決めて掴むの!薄っぺらで簡単な奇跡なんかじゃ、ないよ?」
占いの館の直後は、不安そうな表情をしていたのに……。いつの間にか、俺を支えてくれる立場に変わってる。
いつも俺が弱っている時に、彼女は強くなるんだ。
”どんなに困難な事があっても、その度に違いが補い支え合い、乗り越えられる理想のご夫婦ですよ。”……。
あの占い、確かに当たってるな。
「……じゃあ、もし。
もし、俺が夢の配達人じゃなくなっても……。何も、変わらない?」
俺のその質問には、アカリもさすがに少し驚いた表情をして、暫く「ん~」と考えて……。
でも、すぐに微笑って言ってくれた。
「それも、ありじゃないかな。
だって、少なくとも今よりは休みが増えるって事でしょう?
それはそれで、嬉しいな~……なんて」
……そっか。
そういう風に、アカリは思ってくれるんだな。
どんな状況でも、その時に出来る事を一生懸命熟して生きる力。
そうだった。
俺が彼女に惹かれたのは、花嫁修業の時。
辛い状況の中。やれる事を、目の前の事を必死に頑張るアカリを、好きになったんだ。
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