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第1章(2)アカリside

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……
…………。

「お二人はまさに運命の相手!
どんなに困難な事があっても、その度に互いが補い支え合い、乗り越えられる理想のご夫婦ですよ」

私とヴァロンの前に座った占い師さんが、優しい笑顔でそう言った。

その答えに私はホッと胸を撫で下ろして「ありがとうございました!」とお礼を言うと、笑顔で占いの館を出て、空を見上げながら深呼吸をする。


「……よかった」

「だから言ったじゃん。
俺とアカリは、占いなんかに頼らなくても大丈夫だって」

思わずポツリと呟いた私に、遅れて店から出てきたヴァロンが言った。


「……うん、ごめんね。
なんかね、ちょっと不安だったの」

「……」

その言葉に、彼はじっと私を見つめる。
嘘は付きたくないし、私は素直に話そうとヴァロンと人気のない場所に行き、ベンチに腰掛けた。


「私はね。前にも言ったけど、どんなヴァロンでも大好き。
出逢った頃も、召し使いの時も、今も……。
でもね、時々不安になるの」

ヴァロンは私の話を、聞いてくれた。
こんな事、せっかくの旅行先で話す事じゃないかも知れない。
二人きりの楽しい時間を裂いて、面倒臭い女かも知れない。

でも、偽りの笑顔を彼に見せたくなかった。


「……ごめんね、こんな事言って。
ヴァロンを信じてない訳じゃ、ないの。
でも、私には……。遠い人に思えて……」

「今日、何人の男が振り返ったか知ってる?」

「!……。え?」

私の言葉を遮ったヴァロンの質問に、ハッとして俯いていた顔を上げた。
そんな私を、ヴァロンは横目でじっと見ながら口を開く。


「アカリの事を見て、振り返った男の数。
港街で6人、電車で2人、ここにきてから……」

「!……か、数えてたの?!」

彼のまさかの発言に、私は驚いて声を上げる。
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