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第1章(1)ミネアside
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しおりを挟む「……。え……?」
この状況で何を言っているのかしら?と、呆気に取られる私に、彼は机の上に置いてあるチェス盤を指差して言う。
「チェス、お好きなんでしょう?
そうじゃなきゃ、あんな素敵なチェス盤を所有している訳ない」
確かにチェスは大好きで、家族や友人に負けた事はない程の腕前で……。自信もある。
でも、私が今言ってるのはそんな事じゃない。
「あ、あのね……、マオ様……」
「僕の親友にも、チェスの天才がいるんですよ。彼には敵いませんが……。
僕も、決して弱くはないですよ?」
私の言葉を遮って、マオ様はそう言うと……。
意地悪そうに首を少し傾けて、微笑った。
まるで”貴女には負けません”と言いたげなその表情が、私に火を点ける。
「……それは。たいした自信ね」
フッと笑うと、彼は繋いでいた手を引いて私をベッドから引き起こして立たせた。
「……では、お手合わせ願えますか?」
「ええ。良くってよ?
貴方が勝ったら契約してあげる。
わたくしが勝ったら、何でも言う事をききなさい?」
いつの間にか……。
マオ様の思惑通りにされていた。
私の気持ちを自然と惹きつけて、決して相手の気分を害す事なく成功に導いていく。
彼は、本物だと思ったわ。
……。
「……チェックメイト。
僕の勝ち、ですね?ミネア様」
チェックされた駒を回避出来なかった私に、マオ様が勝ち誇った様に微笑う。
「っ~~~~!
納得いかないわ!もう一度勝負よ!」
ムキになる私に、彼は何度も笑顔で勝負してくれた。
決して、一切手を抜かずに……。
私の機嫌を伺わず、接待として扱わないその自然体のマオ様の気持ちが、嬉しかった。
……
…………。
〈回想終了〉
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