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第1章(1)ミネアside
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〈回想〉
【高級ホテル/ミネアの部屋】
「嬉しいわ、マオ様!来て下さったのね!」
私の誘いを聞いて、部屋を訪れてくれたマオ様。入り口で立ち止まっている彼の腕を、私は強引に引っ張って部屋の中に入れると、扉を閉めて鍵を掛けた。
マオ様が気に入っているのは本当だった。
見た目が格好良いからだけではない。雰囲気、というか直感だった。
”彼はどこか普通の男とは違う”と……。
自分は人を見る目はあると思っていたから迷いは全くなく、一晩だけの相手ならば最高だと、楽しい時間を過ごせると思い誘った。
ただ。
契約を結ぶつもりなんて、最初からない。
私を取り巻く世界では、大体の男は私の姿に騙される。無邪気で世間知らずな、場のお飾りの社長令嬢。
「……ね?マオ様。
わたくし、貴方をとても気に入ったの」
立っているマオ様の正面に行き、彼の眼鏡を外すと……。片手で頬に触れて顔を近付けた。
「わたくしの想い。
受け入れて下さるでしょう?」
にこっと微笑み、目を閉じて唇を重ねようとする。
こんな風にすれば、まず相手は誘いに乗ってくる。仮に戸惑ったとしても、大手企業の令嬢の私を邪険には出来ない。
彼もそうだと思った。
けれど……。
「失礼。
僕が貴女を訪れたのは、別の要件です」
私の唇を自分の指先で遮りながら、マオ様は言った。
!っ……えっ?
目を開けると……。
彼の美しく強い眼差しに射抜かれて、心臓がトクンッと跳ねる。
私を見つめるその表情は、戸惑った様子も、焦りも……。女に迫られて情けなく表情を緩ませる男の顔も、なかった。
ただ、真剣に……。私を見ていた。
「次期社長である貴女に、会いに来ました」
「!……」
マオ様のハッキリとした言葉に、私は驚きを隠せない。
一瞬、誤魔化そうとも思った。
……でも。
すぐに無理だと分かる。
彼の瞳に見つめられて、嘘など付けなかった。
【高級ホテル/ミネアの部屋】
「嬉しいわ、マオ様!来て下さったのね!」
私の誘いを聞いて、部屋を訪れてくれたマオ様。入り口で立ち止まっている彼の腕を、私は強引に引っ張って部屋の中に入れると、扉を閉めて鍵を掛けた。
マオ様が気に入っているのは本当だった。
見た目が格好良いからだけではない。雰囲気、というか直感だった。
”彼はどこか普通の男とは違う”と……。
自分は人を見る目はあると思っていたから迷いは全くなく、一晩だけの相手ならば最高だと、楽しい時間を過ごせると思い誘った。
ただ。
契約を結ぶつもりなんて、最初からない。
私を取り巻く世界では、大体の男は私の姿に騙される。無邪気で世間知らずな、場のお飾りの社長令嬢。
「……ね?マオ様。
わたくし、貴方をとても気に入ったの」
立っているマオ様の正面に行き、彼の眼鏡を外すと……。片手で頬に触れて顔を近付けた。
「わたくしの想い。
受け入れて下さるでしょう?」
にこっと微笑み、目を閉じて唇を重ねようとする。
こんな風にすれば、まず相手は誘いに乗ってくる。仮に戸惑ったとしても、大手企業の令嬢の私を邪険には出来ない。
彼もそうだと思った。
けれど……。
「失礼。
僕が貴女を訪れたのは、別の要件です」
私の唇を自分の指先で遮りながら、マオ様は言った。
!っ……えっ?
目を開けると……。
彼の美しく強い眼差しに射抜かれて、心臓がトクンッと跳ねる。
私を見つめるその表情は、戸惑った様子も、焦りも……。女に迫られて情けなく表情を緩ませる男の顔も、なかった。
ただ、真剣に……。私を見ていた。
「次期社長である貴女に、会いに来ました」
「!……」
マオ様のハッキリとした言葉に、私は驚きを隠せない。
一瞬、誤魔化そうとも思った。
……でも。
すぐに無理だと分かる。
彼の瞳に見つめられて、嘘など付けなかった。
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