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第6章(1)アカリside
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しおりを挟むそして子猫も猫リディアの存在に安心したのか、リラックスした様にそれを受け入れている。
そんな様子を見て安心していると、「よかった」って小さく呟く声が聞こえた。
その声に視線を向けると、とても優しい瞳で猫リディアと子猫を見つめている彼。
私の、大好きな彼。
相変わらず、スラッとした長身。
雨に濡れたワイシャツが素肌にくっ付いて、以前より筋肉が落ちて線が細くなった感じが見える。
入院生活や今の仕事のせいかな?
瞳の色はカラーアイレンズだと思うけど、黒に近い灰色の髪はウィッグじゃなくて染めてるんだと……。
夢の配達人時代に、プライベートで一緒に出掛ける時の彼の変装を思い出して分かる。
彼が猫リディア達に釘付けなのをいい事に、私は久し振りに……。ようやくじっくりと彼を見つめる事が、出来た気がした。
そして、ある部分に目が止まる。
いくら雨だと言っても、今はそこまで寒くない季節。
それなのに、彼の手にはめられた手袋。
その黒い皮の手袋は薄手に作られており、手にピッタリと馴染む感じで実用的。
普段から着用している様子で、そういえばこの前広場で会った時も付けていた。
新しい、お洒落……かな?
一瞬そう思ったが、私の中で違和感が消えない。
「っ……あの、……」
「ハッ、クシュンッ……!
っ……あ、すみません」
私の言葉を遮る様にクシャミをしてしまい、彼は少し恥ずかしそうに俯いた。
その姿が何だか可愛くて、私は思わず顔をほころばせてしまう。
本当に、ズルい。
私ばっかりこんなに好きなんて……。
心の中で文句を言って、私は彼が持っているダンボール箱を取り上げると靴を脱いで玄関を上がった。
「上がって下さい。
そのままじゃ風邪引いてしまうでしょう?今、タオルと着替えを用意しますから」
それくらいは、いいよね?
と、思いながらそう言うと、彼は私を見て激しく首を横に降る。
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