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第5章
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しおりを挟む「!っ……ま、って……。
待っ、てッ……ヨシュア兄様っ!!」
まだ頭は混乱したままだけど”このままではいけない!”と、ようやく我に返った私はヨシュア兄様を追いかけようと立ち上がった。
しかし、それを側にいた兵士達が止める。
「外は危険です!」
「姫!ここで大人しくなさって下さいっ!!」
複数の兵士達に押さえ付けられて振り解く事が出来ない。
「っ……放して!
お願い、っ……放してッ!!」
きっと何か訳があるんだ。
みんな、誤解してるだけだと私は思った。
クウォンが父様と母様を騙し討ちなんて……。理由もなくそんな事をする筈がない。
だって、私が見てきたクウォンはいつも優しかった。
争いのない平和な世の中を創りたいと言っていた。
私を大切にしてくれた、愛してくれた。
会って確かめたい。
クウォンに会いたいッーー!!
「っ……メル!!
メルッ……?何処にいるのッ?!」
私は兵士達を押し退けながら必死にメルを呼んで探した。
……だが、いない。
この決して広くない部屋内に、いつの間にかメルの姿は消えていた。
胸が震えて、急激な不安が押し寄せてくる。
計ったように私の側からいなくなったメル。
私に何も言わず、消えたメル。
まるで初めからこうなる事を、知っていたかのようだ。
「……。
放、して……」
孤独のような、絶望感が重くのしかかってくる。
悲しくて、哀しくて……。怒りに似た抑えられない感情が溢れた。
「っ……邪魔をするなッ!!
私を、っ……放しなさいッ!!」
錯乱した叫びに怯んだ兵士達を突破して、私は部屋を飛び出すと必死にクウォンの姿を探した。
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