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第3章

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「あ~っ!疲れた~!
やっぱり自分の国に帰ってくるとホッとするわ~!」

黒炎から降りて二人で炎の国が見渡せる丘を歩いていると、クー兄様は草で柔らかそうな地面に両手を広げてドサッと仰向けに寝転んだ。無邪気な笑顔を見せるその姿は、とても次期国王になるかも知れない王子様とは思えない。
そんな事を思ってふふっと微笑って、隣に腰を下ろすと……。

「……あ、違うな。
ガーネットと居るから、だな?」

「っ……」

私の方に寝返りを打って、ホッとする理由をサラッと訂正するクー兄様。その仕草にときめいて、その言葉にドキッとして、また私の心臓はうるさくなる。

も、もうっ!
心臓がもたないよっ……。

赤くなった顔と動揺を隠すために、私は稽古中に結い上げていた髪を解いた。
今では背中の真ん中位までに伸びた髪。風に吹かれて揺れる私の白髪を、クー兄様が見つめて言った。

「……そうしてると。
ガーネットはミラによく似てきたね」

「え?……そう、なの?」

ミラーー。
それは私が物心つく前に亡くなったって聞かされた母様の名前。
そっか。従姉弟の関係で私の父様と結婚する前は炎の国で一緒に住んでたって聞かされたから、クー兄様は母様を知ってるんだ。
父様の事も、母様の事も、自分の両親の事なのに私は全然覚えていない。だから、寂しいとも感じた事がない。
気付いたら私にはクー兄様が居て、メル達が居て、本当の妹や家族みたいに扱ってくれたから……。
でも、疑問に感じた事は一つある。


「……。
どうして私は”ガーネット”って名前なんだろう?」

ポツリと呟いて空を見上げた。
ガーネットとは紅い色の宝石だ。
赤い髪や赤い瞳の女性ならばとてもしっくりくる名前だと思う。

……けれど、私は何故か白髪に灰色の瞳。
せめて名前だけでも赤い色を取り入れたかったのだろうか?と、自分なりに考えていた。
すると……。
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