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(8)リディアside
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しおりを挟むその後も、赤ちゃんが動くのはヴァロンの話題を出す時ばっかり。
特に写真を眺めていると、元気に動く。
「……アンタ、相当のファザコンね?」
絶対に、女の子だと思った。
なだめるようにお腹を摩りながら、私はくすくす笑う。
「……。
会いたい、よね?」
”うん!”……。
そう返事するように動く赤ちゃん。
気持ちが揺れ動きそうになる。
何度も何度も、考えた。
この子にとって一番の道を……。
いつか、例え親子と名乗れなくてもヴァロンと会える方法を……。
たくさんの想いを乗せて、私はこの日から手紙を書く事にした。
自分がいなくなった後、みんなが幸せになれるように……。
この手紙を受け取った人と人が繋がるように……。
……そして。
この子が全てにちゃんと結び付くように……。
「……決めた。
アンタの名前は、”ユイ”……」
奥さんに許可をもらって、名前を決めた。
……
…………。
12月に入ると、病魔が私の身体を蝕み出した。
よく手足や身体に力が入らなくなる。
関節が痛み出したり、貧血や熱発。
体調が良い日の方が少なくなってきた。
それでも、自分に出来る楽しみを見付けて頑張った。
12月24日はヴァロンの誕生日。
一緒に暮らしていた時は特にプレゼントなんてあげなかったけど、毎年一緒にケーキを焼いた。
最初の年は上手く生地が膨らなくて、二人で”こんなのケーキじゃない!”って文句を言い合った。
ある年は飾りの苺の数が奇数で、割り切れないから私が一個多く食べたら……。
”お前マジ信じらんねぇ!”って、ヴァロンは本気で拗ねた。
「あの頃は、可愛かったなぁ……」
私が思い出してくすくす笑うと、お腹の中のユイもまるで一緒に笑っているように動く。
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