【R18】夢の言葉と虹の架け橋【続編①】

☆リサーナ☆

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(2)ギルバートside

2-6

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「!……」

自分に近付いてくる僕に気付いたヴァロン君は、少し警戒した目で見つめてくる。

……けど。
僕はお構いなしに側に行くとヴァロン君の手をガシッと握り、思わず笑顔になってしまった。


「君っ……すごい!天才だよッ!!」

「!っ……はぁっ?」

「感動した!
僕ね、あの舞台大好きなんだッ!!」

すっかり興奮して、僕は呆気に取られるヴァロン君にどんどん詰め寄る。
この時僕はきっと、子供みたいにキラキラ目を輝かせていた。


「70点なんてとんでもない!
100点だよ!満点!
……いや、点数なんて付けられない!」

「ちょっ……!
な、なんだよ?あんた……ッ」

抑えられない気持ちを伝えたくて、でも上手く言葉が出なくて勢いで話す僕を……。
誰かがグイッと首根っこを後ろに引っ張って、ヴァロン君から離した。


「うちの弟子に触るんじゃないわよ。
ファンはいいけど、お触りは禁止よ!」

「!っ……あ」

僕を引っ張った相手。
それは、リディアさん。

……。

顔を合わせてしまった。
と、汗をタラタラ流す僕をリディアさんがキッと見つめる。


「大体ね、私の評価に不満な訳?
あんな演技で満足してたら、この子は此処で終わっちゃうのよ!
中途半端な人間は構わないでちょうだい!」

「ッ……」

リディアさんの言葉が、僕の胸にズキッと突き刺さった。

何も、言い返せない。


「……。
ヴァロン、帰って反省会よ」

リディアさんは僕を放すと、背を向けて足早に歩き出した。
ヴァロン君は何も言わずに、僕の事をチラッと見ると彼女を追い掛けるように去って行った。

ヴァロン君の背中は、小さいのに……。
僕にはとても大きく見えた。

……
…………。
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