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第8章 (1)アカリside
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しおりを挟むでも、私には何も見えない。
ヴァロンの見つめる先に……何があるの?
「ッ……!!」
「!……ヴァロン?」
ヴァロンの様子に気を取られていると、急に彼は何かを追い駆けるように走り出した。
ただ一点だけを見つめて、がむしゃらにヴァロンは向かっていた。
「!……。
アカリさん、行きましょう!」
「は、はいっ……!」
何とかヴァロンを見失わないように、私とシュウさんは慌てて後を追った。
丘を駆け上がり、一番上にある墓地を目指す。
……
…………。
息を切らして、なんとかヴァロンに追い付くと、彼はじっと何かを見つめていた。
ゆっくり背後から近付いて、ヴァロンの視線の先を見ると……。
そこには、一人の女の子がいた。長い黒髪を左右二人つに分けて三つ編みをした、多分私よりも年下の小柄な少女。
お墓の前で腰を落として、お参りをしていた。
その少女をじっと見つめるヴァロン。
知り合いなの?と、問い掛けようとしたら……。
お参りをしていた少女が、ヴァロンに気付いてゆっくりと立ち上がった。
ただじっと見つめるヴァロンを、少女は首を傾げて見つめ返している。
「……。ねぇ、どうしたの?」
「!……あ、アカリ」
私が腕を引いて呼び掛けると、ヴァロンはハッと我に返ったように私の名前を呼んだ。
すると……。
「……アカ、リ?」
少女が、私の名前をポツリと呟いた。
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