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第3章 (5)シュウside
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しおりを挟む「されたから、返したんだよ。
それに、あんなキスじゃ客なんか引けない。指導だよ、指導。あの女が生きてく為にな」
そう言ったヴァロンの言葉が少し真面目な口調で、私はそっと彼に目を向けた。
すると、彼はさっきの女性を見てた。
その真剣な眼差しに私も女性を見ると……。必死に客引きをする姿が、目に映った。
さっきまでの軽いイメージが消えて、生きる為に仕事をする、女性の姿。
「……頑張れよ」
近くに居たから、私には聞こえた。女性を応援するヴァロンの言葉。
「さ~て、腹減った~!
任務中何も食ってないからいっぱい食うぞ!」
何事もなかったかのように、伸びをしながらヴァロンは歩き出す。
「……。
ヴァロンは、いつも大食いじゃないですか」
私は彼を見て微笑んだ。
ヴァロンの母親の事。
夢の配達人の調査員が調べていた。
きっと彼は、さっきの女性を母親と重ねていたんだ。
厳しい世界の中で生きられるように……。悪い道に行かないように、したかったんだ。
「……。
少しくらい、幻滅させて下さいよ」
呆れたように呟いた。
「あん?何か言ったか?」
「……いえ、何でもありません。
あ!店の予約時間とっくに過ぎてます!
ヴァロン、行きましょう!」
二人でお店まで、久々に競争するように走った。
楽しくて、全てが輝く。
ヴァロンといると本当に夢のようで……。
醒めないでほしいと、いつも願っていた。
……
…………。
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