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第3章 (5)シュウside

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「っ……」

目を逸らしたいのに、逸らせない。

女性は一度唇を離して微笑むと、再びヴァロンに口付けて……。舌を絡めて、深いキスを強請るように口付けを繰り返す。


「……下手くそ」

そんな女性にヴァロンはボソッと呟くと、噛み付くような口付けを返して壁に押し付けた。
「ンッ」と、女性が思わず目を閉じると、ゆっくり、舌を口内から抜いて……。チュッと触れるだけのキス。

ヴァロンが唇を離すと、女性はさっきとは違った熱っぽい表情で彼を見上げていた。


「ッーー……!!」

その光景に身体が熱くなる。
まるで……。自分がキス、されたみたいに身体が疼く。

仕掛けたのは女性なのに……。一瞬のキスで、ヴァロンは女性を虜にして黙らせた。

彼に惹きつけられたまま見つめていると、私に気付いたヴァロンと目が合った。


「!……っ」

ドキンッと鼓動が跳ねて、私は思わずヴァロンから目を逸らした。


「連れ来たから行くわ。
次はもっと上手く客引けよな?」

ヴァロンは女性にそう声を掛けると、ゆっくり私の方に歩み寄って来る。足音にすら敏感に反応してしまって強張る私に、何も知らないヴァロンが背後から肩を抱く。


「遅えぞ、シュウ!
お陰で絡まれただろ?責任とれよ」

「せ、責任って……。君ッ……ノリノリで楽しんでたじゃないですかッ!」

抱かれた肩が震える。
ヴァロンの顔が見れない。
赤面した顔を隠すように俯くと、ヴァロンはスッと私から少し離れた。


「……お前さ、純情すぎだな。
せっかくいい顔してんのに勿体ねぇ」

「っ……ヴァロンは軽すぎです!
あんな、好きでもない女性と……ッ」

思い出してまたボッと赤くなる私に、ヴァロンは溜め息を吐く。
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