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第3章 (2)シュウside

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マスターの息子として生まれた私にとって、夢の配達人はすごく身近な職業だった。
物心ついた時から、父であるマスター・ギャランの創り上げた隠れ家が私の自宅であり遊び場。色々な特技や能力を持った人達に囲まれて育った。

父は私が夢の配達人になる事を強制はしなかったが、隠れ家で年齢と共に力をつける事を本当に喜んでくれた。
私が強くなればなる程、”親の七光り”と言われる事もあったが……。そんな陰口が気にならない位、私は父を尊敬していたし夢の配達人の事が大好きだった。


一般知識や人との交流を学ぶ為に、同世代の子供が通う学校にも行っていたが、勉強も運動も、群を抜いて断トツだった私は浮いていた。

自分の力を自慢したつもりもなければ、見下したつもりはない。
けど、次第に友達は減っていった。


頑張れば頑張る程。強くなれば強くなる程。
同世代の友達は、いなくなる……。


ーーそれでも良かった。
私には夢の配達人のみんながいる。隠れ家に帰れば、独りじゃなかった。

いつか、誰もが憧れる夢の配達人になる。父のような何でも屋になる。
最高位の証である白金バッジを取得して、一人でも多くの夢や願いを叶えてあげたい。

ずっと心に抱いていた夢。
幼い私の、夢だった。


そんなある日。
変わり者の夢の配達人リディアが、依頼人から受け取った報酬金を全て使って密売人から子供を買ったと話題になった。

下剋上で白金バッジに昇格したリディアは、夢の配達人の中で当時は唯一の女性。
白銀の髪と水色の瞳は妖精のように美しくて……。しかも、完璧なのは容姿だけでなく文武両道の彼女。

私も密かに憧れていた。
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