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最終章 (4)夢の言葉は魔法の呪文
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しおりを挟む大広間は、すっかり花嫁修行の試験会場という雰囲気ではなくなっていた。
少なくとも、私にはいい意味で静まり返り、素敵な夢の余韻に浸っているような気分。
ーーでも。
素敵な夢は、まだ終わっていなかった。
「……おい、お前!」
「!……へ?」
突然声を掛けられて、私はハッとした。
その声は、さっきアルバート様にお父さんの事を話していた声とも、シュウさんと話している声ともまた違う。
幼いあの日、彼と会った時に聞いた響き。
懐かしい声に顔を向けると、そこには真っ直ぐ私を見つめるヴァロン。
「……お前だよ、お前。お前しかいねぇだろ?」
「わ、わた……し?」
冷静な声で言われて、私は自分を指差して首を傾げた。
するとプッと吹き出した彼が、馬鹿にするように笑う。
「変わんねぇな、お前。
ククッ、相変わらず頭悪そう」
「!……なっ、失礼ねッ」
ヴァロンの意地悪な態度に、思わずカッとなる私。
そんな私に、ヴァロンがスッと左手を差し出した。
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