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第9章 (3)最後の想い出
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しおりを挟む「初めて言われたんだ、そんな事」
「……え?」
「ありがとう。
アカリのおかげで、自分が生まれてきた意味がちゃんとあった。って、思えたんだ」
そう言って、私を見つめるバロンの瞳。
とても綺麗で、澄んでいた。
言葉が、でなくなった。
美しいのに切なくも映るその白金色の光が、彼の言葉の深い意味を物語る。
平凡だが平和な国に生まれて生きて来た私には想像も出来ない、”差別”という辛い現実がまだこの世にあるという事を……。
ーーだから貴方は、こんなにも美しいの?
辛い筈の過去をこんなにも明るい笑顔と声で告白出来る彼に、簡単な言葉なんて、言えない。
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彼の言葉が深くて、重たくて……。
文武両道で美しい容姿のバロンが、決して恵まれた生き方をしてなかったんだと……。
私は、こんな別れの間際に知った。
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