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第9章 (2)最後の想い出
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しおりを挟む「残したら怒るからね?
全部……。全部、食べてよね?」
「余裕だね!
だって、アカリの手作りでしょっ?」
ニッと口角を上げて、声を弾ませるバロン。
用意していたフォークを差し出して渡すと、「いただきま~す」って、ご機嫌にケーキを頬張る。
綺麗な顔からは想像出来ない位、大きな一口。
無邪気な、子供みたいなその姿が、愛おしい。
「……うん!
今まで食べてきた物の中で、1番美味い!」
「もうっ、大袈裟」
恥ずかしくて、照れて思わずそう言っちゃったけど……。
作った私の方が幸せになるくらいの笑顔で食べてくれるバロンの言葉は、絶対に嘘じゃない。
「ねぇ。これ、おかわりないの?」
「バロン、ほんっとに身体壊すよ?」
口ではそう言いながらも、彼の言葉一つ一つが私の心を照らしてくれていた。
もしも、バロンといられる未来があったら……。
私は糖分を減らしても美味しくお菓子を作れる調理法を、勉強をしたと思う。
叶わない夢でも、そう思える人に出逢えた私はきっと幸せに違いないのだ。
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