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第8章 (1)たくさんのありがとう
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しおりを挟むその後の帰路では、バロンは私を”お嬢様”って呼んだんだ。
ローザのお陰で、私が抜け出した事を知っているのは別荘内でも数人で……。
お祖父様、アルバート様の耳に入る事もなかった。
けれど。
私の軽率な行動は、一歩間違えば取り返しのつかない大事になっていた。
ローザや警備達が咎められて、下手をすれば、最悪の処分になっていたかも知れない。
お嬢様である、今の私の責任の重さを痛感した。
たくさん、ローザと話し合った。
今回の事。
これからの事。
私の事。
そして、バロンの事。
だから、私は彼を自分の召使いから外した。
あの日以来、バロンは私の事を”アカリ”とは呼ばない。
別荘内ですれ違っても、挨拶を交わす程度。
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