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第6章 (1)父を求めて-前半-

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「勿体無いですね。
よろしければ、今度お直し致します」

「え!本当っ?
ありがとう、バロン!」

オルゴールを直す技術なんて、彼は一体何処で学んできたのだろうか?

と、思いつつ。

何だかバロンには、出来ない事がある方が珍しいのでは?

と今までの事から思い直した私は、笑顔でお礼を言うと再び宝石箱の中に目を移した。


決して大きくないその中身は、まさに結果が一目瞭然。

ーーうん。
特に、何も入ってない。

よく思い返したら、お母さんはアクセサリーとか全く身に付けていなかった。


……お父さん。
何かここに入る、プレゼントなかったの?

ガックシと肩を落とす。
そんなに家は貧乏だったのかと、少し悲しくなった。


しかし。
沈んだ気持ちで蓋を閉めて、机の引き出しに戻そうとした時。
宝石箱の中でカランッと、音がした。
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