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第4章 (3)バロンVS夢の配達人
3-2
しおりを挟む不気味な暗雲が、明るい月を覆い隠してしまうかのようにーー。
このまま、バロンが遠くに行ってしまうような……。
そんな不安に駆られる。
「ッ……!」
バロンッ……?!
動揺で上手く声が出せなくて、心の中で名前を呼んでバロンの背中に手を伸ばそうとした。
……が。
私の手は虚しくも彼を捕えきれず、空を掴んだだけ。
睨み合うように見つめ合っていたバロンとリーダーがその場を飛び出して、互いに攻撃を仕掛けるようにぶつかり合った。
お互いに全く引かない。
引く気配のない、攻めのぶつかり合いが始まる。
別荘で初めてバロンの戦いを見た時、彼はどちらかと言うと相手の攻撃を防ぐ、交わす戦法だった。
決して相手を傷付けようとはしない、最小限のダメージで倒すような、そんな戦い方。
稽古の時も。
私に護身術を教えてくれる時も……。
バロンは自ら相手を傷付けるような事はしなかった。
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