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第3章 (2)夏がきて……。
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しおりを挟むでも、”恥ずかしくて、情けない”。
そんな羞恥が溢れ顔が強張る。
しっかりしなきゃ!
そう思えば思う程に、だんだん震えてくる身体。
足がカタカタして一人で上手く立つ事が出来ない私は、早く広間へ行かなければならないのに全く進む事が出来ない。
ど、どうしようっ……。
焦れば焦るほど言う事を効かない自分の身体。
どうしていいのか分からなくて、私は今から逃げるようにギュッと目を閉じた。
ーーーすると。
そんな私を落ち着かせるように、背中にポンポンッと刻まれる心地良いリズム。
昔、悲しい時や困った時に母親がくれた温もりとよく似た暖かさ。
だが、少しだけ違う。
それは母親の手よりも大きな、彼の手。
「大丈夫だよ、アカリ」
「!……バ、ロン?」
「僕がいる。
アカリの傍に、ずっといるよ?」
小さな声で囁かれて、私は固く閉じていた瞼をゆっくりと開けた。
目の前にあるのは、バロンの優しい表情。
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