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第2章 (2)バロンとヴァロンとバロン

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「翌朝、目が覚めたら……。
彼はもう家にはいなかったの」

まるで夢のような夜だった。
そう思い返しながら、私は新聞の写真を指でそっとなぞる。


けど、夢じゃない。
だってあの夜から、私の夜は独りぼっちではなくなったのだから。

彼が私にくれた、小さなお友達……。


「ーー彼に貰った子猫。
だから名前をバロンにしたんだ」

暫くして、新聞の記事で知った。
彼が”夢の配達人”のヴァロンだって。

どんな依頼も完璧なヴァロン。
でも、一度だけ……警備に見付かって怪我をした事がある。
その場にいた、事件に巻き込まれそうになった子猫を助けたんだって。


依頼を引き受けたら、どんな汚い仕事でもやる彼等。
彼等を悪党と言う人も、少なくない。


でも。
子猫を助けたり、幼い子供が寝付くまで傍にいてくれる、優しい人。
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