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第2章 (2)バロンとヴァロンとバロン

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***

それは私がまだ5歳の時ーー。


小さな町の小さな家。

この夜も、私は一人でお留守番だった。
お母さんは生活の為に夜も働いていて、夕飯をすませるとすぐに出掛けてしまったからだ。

私の為に頑張ってくれる、優しくて大好きなお母さん。
困らせたくもないし、ワガママも言いたくない。

……でも。
暗くて長い一人の夜は、本当は何度経験してもやっぱり寂しかった。


そんな気持ちを紛らわす為に早く寝てしまおうと思ったが、この日はいつもと外の様子が違ってた。
夜は静かな町中が騒がしく、ザワザワしていて、バタバタとたくさんの人の足音が聞こえてくる。


何かあったのかな?

そう思って玄関まで行ったけど、『一人で外に出ちゃダメ』ってお約束。
気にはなったが、母との約束は破りたくない。

玄関の扉のドアノブを見つめていた視線を俯かせ、自分の部屋まで戻ろうとトボトボと足を進めた。


ーーしかし、部屋に足を踏み入れる寸前。
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