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第2章 (1)バロンとヴァロンとバロン
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しおりを挟む強いだけじゃなくて、頭までいいなんてね。
おまけに教え方も上手だし、なによりも……。
「そうそう!
やれば出来るじゃん、アカリ!」
私が何か一つ出来る事が増える度に、一緒に嬉しそうに喜んでくれた。
それが何よりも嬉しくて、いつの間にか私は勉強が楽しくなっていたんだ。
時々厳しいけど、最後に見せてくれる甘い笑顔。
私は毎日胸を弾ませてバロンの授業を受けた。
最初はバロンを不審がってた使用人達も、彼の人柄と美しさに次第に心を開いていって……。
なんだかこの別荘内の雰囲気も変わっていくのを感じた。
そしてローザが用意した召使いの制服ー燕尾服ー。
これを着たバロンの姿がまた、格好良いのなんの。
肩まで伸びた髪を後ろで一つに纏めて、前髪を少し上げた彼は大人の男性の魅力を増した。
表情や仕草で可愛くも格好良くもなるバロン。
本当に、不思議な人。
記憶を失くす前はどんな人だったんだろう?
何処で暮らして、どんな生活を送っていたんだろう?
友達は?家族は?
……恋人がいたり、したのかな?
一緒の時間を過ごすうちに、私は気が付くとそんな事を考えるようになっていた。
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