スノウ

番外編④三月side

④-3-3

「えっ？お前が再婚したい相手、ってサクラちゃんだったのか？」

「！……冬磨とうま、知ってんのか？」

「知ってるも何も……。いくら研究の種類が違っても、同じ研究所で働く者同士の事は僅かながら耳に入ってくるさ」

冬磨とうまは話してくれた。
サクラはある日突然、橘たちばなが連れて来た女の子で何でも不思議な力を持っていると噂されている事。その力が何なのかは分からないが、とにかく不気味がられており、橘たちばなに命じられて世話を任されている者達以外は滅多にサクラに近付かない事。
しかし、その中で橘たちばなは異様なまでにサクラに執着して溺愛していると……。

サクラから橘たちばなについて聞いた事はなかったが、もしかしたら橘たちばなもサクラの事好きだったり……すんのか？

早々に身を固めて家庭を持った冬磨とうまと違って、橘たちばなは未だに独身。
今の話を聞いたら、もしかしたらサクラに好意を寄せている可能性は十分にあるんじゃないかと思った。
すると、そんなオレの内心を悟ったのか冬磨とうまが言う。

「……難しいかも、知れないな」

「！……冬磨とうま？」

「橘あいつの性格や研究員になってからの変わりようはお前も知ってるだろ？
サクラちゃんの事を研究者としてなのか、恋愛対象なのかは定かじゃないが……。とりあえず、橘たちばなが簡単に手放すとは僕は思えないな」

きっと冬磨とうまは、「彼女は諦めろ」「やめておけ」って、遠回しにオレに忠告してくれていたんだろう。
難しい事は分からねぇが、隊員になってからオレは何かと研究員達に楯突いてるから橘たちばなに嫌がられてるのはもう十分に承知していた。昔と今は違うのかも知れねぇ。
けど、オレは守護神ガーディアンに入る前の仲が良かった頃の橘アイツがまだいる事を信じたかった。