スノウ

☆リサーナ☆

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番外編③杏華side

③-3-1

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【番外編ー杏華sideー後半】

それは泊まりの任務で、寝付けなかった私が夜中にテントから出て散歩しようとした時の事。近くの河原で、タオルを濡らして上半身を拭いているゆき君と居合わせてしまって……私は見てしまった。

無数の切り傷に、煙草たばこを押し付けられたような火傷の痕ーー……?

ゆき君の身体にある、無数の古傷。
それを見た瞬間、私の頭の中に浮かんだ紫夕しゆうさんの言葉。

「あ、タバコ?やめたよ。ゆきが嫌がるんだ」

ーー……嫌がる、って、まさか……。

てっきり、私と同じ理由だと思っていた。煙たいし、空気が悪いし……。そんな、単純な理由だと思っていた。

それ、なのにーー……。

「ーーッ、……ご、めん」

ゆき君はすぐに上着を羽織ると、驚いて凝視してしまった私に、そう謝った。謝るのは驚いて凝視してしまった私の方なのに、ゆき君の方が謝ったの。

「気持ち悪いもの、見せてごめん」

ゆき君の「ごめん」が、私にはそう、聞こえた気がした。
その後。何も言葉が出て来なかった私を困らせないようにか、ゆき君は自らがその場を立ち去って……。翌日はもう、昨夜の事なんてなかったかのようにいつも通りだった。

っ、ああ。もうっ、どうして何も言えなかったのよ?
あのままじゃ、ゆき君が私が「気持ち悪い」って思ってる、って誤解したままじゃない……。

任務から帰って来てもずっと後悔とモヤモヤが残っていてスッキリしなかった私は、マリィさんに相談して、色々と話して、話も聞かせてもらった。
紫夕しゆうさんがゆき君を助けて引き取った経緯と、理由。それ、は、今まで色んな事に恵まれて生きてきた自分の日々からは考えられない、想像を遥かに超えた酷いものだった。
母親を亡くして身寄りのなくなったゆき君は一旦孤児院に引き取られた後に新しい家族が見つかるが、その先で性的虐待を受けていた事。それが原因で紫夕しゆうさんが保護した際にはすでに心を閉ざしていて口数が少なく、今でも笑ったり泣いたりの感情の起伏がほとんどない事。
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